巡回指導とは、トラック協会が運送会社に対して行う「法令を守って運営をしているか」どうかの確認と指導です。
まずは巡回指導当日に、トラック協会の指導員によってチェックされる項目をご紹介します。
事業計画等
帳票類の整備、報告等
運行管理等
車両管理等
今回解説する項目
労働基準法等
法定福利費等
赤文字で記載した項目は、特に重要とされる項目となります。
こちらの記事は、
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(事業計画等)
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(帳票類の整備、報告等)
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(運行管理等)part1
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(運行管理等)part2
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(車両管理等)
の続きとなります。
今回の記事では、㉜~㊳の「労働基準法等」「法定福利等」についての解説を行います。
就業規則とは、従業員の賃金や労働時間、退職に関する事項を定めておく規則です。
一つの営業所にて10人以上の従業員を雇用する場合は、この就業規則の作成と労働基準監督署長への届出が、労働基準法で義務付けられています。
こちらの項目では、この届出がきちんとなされているか、届出をした就業規則の控えを確認されることとなります。
就業規則については、基本的に社会保険労務士に頼めば作成してもらえまして、従業員が10人以下であってもトラブルを避けるため届出をしておくのが良いでしょう。
36協定とは、従業員の時間外労働(残業や休日出勤)を定めておく協定で、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」と言います。
従業員の労働時間の上限は原則1日8時間、週に40時間と決まっており、これ超えて労働させる場合については、労働基準監督署に36協定書の届出が必要です。
こちらの項目でも、この届出がきちんとなされているか、届出をした36協定書の控えを確認されることとなります。
運送業については、その業務の性質上ほとんどの場合において時間外労働が発生するため、事実上この36協定の提出は必須と言えます。
36協定についても、就業規則と同様社会保険労務士に依頼することで、作成してもらう事ができます。
また、36協定については1年間の有効期限があるため、毎年提出を忘れないようにしましょう。
ここでは、1つ前に解説した36協定書の内容が守られているかを確認されます。
例えば、36協定で1日の最大労働時間を13時間と定めているにも関わらず、それを超えて労働させているような場合です。
出勤簿や日報からこのような違反がある場合は、こちらの項目は不合格となってしまいます。
また、1日の法定労働時間は8時間であるため、それを超える労働については残業となります。
残業が発生しているにもかかわらず、残業代を支払わないことも違法となりますので、合わせて注意しましょう。
運送会社に限らず、会社は年に1回従業員に対して、健康診断を受診させなければなりません。
この健康診断の受診については、怠ると事故に直結するため巡回指導の重要項目となっています。
運転手を含め運送会社の従業員が受講すべき健康診断の項目は、一般的な次の11項目です。
ただし、午後10時以降から午前5時の間の勤務が週に1回以上または1ヶ月に4回以上行う従業員は、特定業務従事者と言い半年に1回健康診断を受診させなければなりません。
長距離トラックの運転手さんは、この特定業務従事者に該当する場合があるので、受診を忘れないようにしましょう。
健康診断の結果は運転者台帳に添付し、運転者ごとに管理・保管するようにしておきましょう。
運送会社に限らず、社会保険に加入義務がある従業員を会社で雇用する場合は、従業員を社会保険に加入させる必要があります。
この項目では、保険の加入についてきちんと手続きがされているかどうかを確認されることとなります。
詳しくは運送業の営業開始するために必要な社会保険等についてにて解説しておりますので、こちらをご覧ください。
運輸安全マネジメントとは「安全性を向上させるための事業運営方法」です。
具体的には、運輸の安全性を向上させるため、下記の14項目について取り組みが必要となります。
これらの取り組みについて、目標や方針を定めて実施します。
これらの取り組みは、下記のような様式にまとめ、営業所に掲示しておきましょう。