巡回指導とは、トラック協会が運送会社に対して行う「法令を守って運営をしているか」どうかの確認と指導です。
まずは巡回指導当日に、トラック協会の指導員によってチェックされる項目をご紹介します。
事業計画等
帳票類の整備、報告等
今回解説する項目
運行管理等
車両管理等
労働基準法等
法定福利費等
赤文字で記載した項目は、特に重要とされる項目となります。
こちらの記事は、トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(事業計画等)の続きとなります。
前回の記事では、巡回指導チェック項目の①~⑧を解説しましたので、まだお読みになっていない方は是非最初から読んでみてください。
今回の記事では、⑨~⑬の「帳票類の整備、報告等」についての解説を行います。
事故記録とは、事業用自動車による事故が発生した際にその事故の詳細について記録しておく書類となります。
事業用自動車に関する事故が発生した場合は、その事故の大小にかかわらず記録簿として残さなければなりません。
この項目は、その記録が正しくされているかをチェックするものです。
一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車に係る事故が発生した場合には、次に掲げる事項を記録し、その記録を当該事業用自動車の運行を管理する営業所において三年間保存しなければならない。
一 乗務員等の氏名
二 事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 事故の発生日時
四 事故の発生場所
五 事故の当事者(乗務員等を除く。)の氏名
六 事故の概要(損害の程度を含む。)
七 事故の原因
八 再発防止対策
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条の二 より引用
条文にある通り、事故を起こした乗務員の氏名を始めとする8つの事項を記録し、3年間その自動車が所属する営業所に保管しておく必要があります。
画像のように8つの項目について記入漏れないよう記載し、管理する必要があります。
自動車事故報告書とは、事業用自動車に関する重大事故が発生した場合に作成する、事故の詳細を記載した報告書です。
事業用自動車が、自動車事故報告規則 第二条に定められた、転覆や転落、火災などの重大事故を引き起こした場合、事故報告書を作成し管轄の運輸支局に提出しなければならず、具体的には下記に掲げた事故を起こした場合に必要です。
この項目は、その事故報告書が正しく提出されているかをチェックするものになります。
事故報告書の提出が必要となる場合や記載方法などは「運送業の事故報告書について必要となる事故や記載方法について解説!」をご覧ください。
重大事故に関してはもちろん引き起こさないことが一番ですが、万が一起こしてしまった場合はその後の処理を確実に行うようにしましょう。
運転者台帳とは、その名の通り運転者の情報を記録しておく書類となります。
この項目は、その台帳が正しく記録・保管されているかをチェックするものです。
下記に掲げる条文の通り、トラックの運転者1人ずつ作成し、3年間その運転手が所属する営業所に保管しておく必要があります。
一般貨物自動車運送事業者等は、運転者等ごとに、第一号から第九号までに掲げる事項を記載し、かつ、第十号に掲げる写真を貼り付けた一定の様式の運転者等台帳を作成し、これを当該運転者等の属する営業所に備えて置かなければならない。
一 作成番号及び作成年月日
二 事業者の氏名又は名称
三 運転者等の氏名、生年月日及び住所
四 雇入れの年月日及び運転者等に選任された年月日
五 運転者に対しては、道路交通法に規定する運転免許に関する次の事項
イ 運転免許証の番号及び有効期限
ロ 運転免許の年月日及び種類
ハ 運転免許に条件が付されている場合は、当該条件
六 事故を引き起こした場合は、その概要
七 道路交通法第百八条の三十四の規定による通知を受けた場合は、その概要
八 運転者等の健康状態
九 運転者に対しては、第十条第二項の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診の状況
十 運転者等台帳の作成前六月以内に撮影した単独、上三分身、無帽、正面、無背景の写真
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条の五 より引用
条文にある通り、作成番号を始めとする10つの事項を記録し、実際に記録すると下記のようになります。
運転者台帳の詳しい記載方法や詳細については「運送業の運転者台帳について必須項目や記入例について解説!」をご覧ください。
車両台帳とは、事業用自動車を管理するため登録番号や年式などの情報を車両ごとに記載して保存しておく書類です。
下記の書類が車両台帳の様式となっています。
こちらの書類を作成し、管理がされてるかをチェックする項目となります。
ご覧いただいてわかる通り、車両台帳に記載する項目は車両の車検証に載っています。
そのため、下記の書類をまとめてファイリングすることで車両台帳の代わりとすることもできます。
事業報告書とは、運送業に関する1年間の業績や財務の状態を報告書として提出する書類です。
事業実績報告書とは、運送業に関する1年間の輸送実績や事故件数を報告書として提出する書類です。
今回の巡回指導対象が本社である場合は、こちらの書類がきちんと提出されているかチェックされます。
事業報告書と事業実績報告書は名前が似ていますが、それぞれ報告内容や提出時期が異なります。
事業報告書 | 事業実績報告書 | |
---|---|---|
報告対象期間 | 4月1日~3月31日 | 会社の事業年度期間 |
提出期限 | 毎年7月10日 | 事業年度終了から100日以内 |
報告内容 |
1年間の業績、財務状況 |
1年間の輸送実績 |
添付書類 |
貸借対照表、損益計算書、 |
なし |
次の記事は、トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(運行管理等)part1となります。
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