巡回指導とは、トラック協会が運送会社に対して行う「法令を守って運営をしているか」どうかの確認と指導です。
実は運送会社のほとんどが、トラック協会が実施する「巡回指導」や運輸局が実施する「監査」に不安をお持ちです。
ここでは運送業専門の行政書士が、巡回指導についてチェック項目とその対策を徹底解説します。
まずは巡回指導当日に、トラック協会の指導員によってチェックされる項目を紹介します。
事業計画等
今回解説する項目
帳票類の整備、報告等
運行管理等
車両管理等
労働基準法等
法定福利費等
赤文字で記載した項目は、特に重要とされる項目となります。
この記事ではまず、①~⑧の「事業計画等」についての解説を行います。
この記事を読むことで、安心して巡回指導に臨むことが出来るようになりますので、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
一番最初に運送業の許可を取得した時から、「主たる事務所」や「営業所の名称」、「営業所の住所」に変更があった場合は、運輸局に変更手続きを行う必要があり、それがきちんとなされているかをチェックする項目となります。
ここでいう主たる事務所とは、運送業の営業所を統括する事務所のことで、どの事業者さんも運送業の許可を新規で取得した際に、「名称」と「位置」を決めています。
運送業の営業所の数が1つの場合は、その営業所の位置と同じ場所を定めている場合が多いです。
また、ここでいう営業所とは運送業に関する運行の管理や点呼を行う場所で、同じく許可を新規で取得した際に「営業所名」と「営業所の位置」を定めています。
主たる事務所の「名称」や「位置」、営業所の「名称」が変更となった場合、管轄の運輸支局に対して事業計画の変更届を提出する必要があります。
営業所の「位置」が変更となった場合、つまり営業所を移転したり、増設した場合は、管轄の運輸支局に対して事業計画の変更認可申請書を提出し、認可を得る必要があります。
運輸局で管理している事業用自動車の数と実際使用している事業用自動車の数が、営業所単位で合致しているかをチェックする項目です。
そもそも事業用自動車を増やしたり、減らしたりする場合は管轄の運輸支局に増減車届を提出する必要があります。
増減車届を提出すると「事業用自動車等連絡書」という書類が発行され、増車の場合は白ナンバーから緑ナンバーへ、減車の場合は緑ナンバーから白ナンバーへ変更することができるようになります。
そして、増減車届を提出し「事業用自動車等連絡書」を取得したはいいものの、ナンバー変更をせずに放置していると、運輸局で管理している事業用自動車の数と実際の自動車の数が合わなくなってしまいます。
また、営業所がいくつかある事業者さんで、異なる営業所間で車両の貸し借りを頻繁に行っていると、知らず知らずのうちに所属の営業所が変わってしまっていたという事もあり得ます。
車両の数が多い事業者さんは、特に注意するようにしましょう。
一番最初に運送業の許可を取得した時から、「車庫の位置」や「車庫の収容能力」に変更があった場合は、運輸局に変更手続きを行う必要があり、それがきちんとなされているかをチェックする項目となります。
車庫の所在地が変更となった場合、つまり車庫を移転した、増設した、廃止した場合には、管轄の運輸支局に対して事業計画の変更認可申請書を提出し、認可を得る必要があります。
また所在地に変更がなくとも、車庫の面積が増えたり減ったりした場合にも、同様に認可申請が必要となります。
休憩・睡眠施設の「位置」と「収容能力」に関するチェック項目です。
休憩・睡眠施設の位置、つまり所在地については原則として営業所か車庫に併設している必要があります。
この所在地については、営業所車庫と同様に新規で許可を取得した際に定めているはずなので、運輸局で手続きをすることなく所在地を変更してしまっている場合は指摘されることとなります。
また、休憩施設や睡眠施設については運輸局に施設の面積を届け出ています。
運輸局で管理している面積と実際の面積が異なる場合も、この項目について指摘を受けることとなります。
休憩・睡眠施設がきちんと使用できる状態に管理されてるかをチェックする項目となります。
保守、管理と言われると抽象的な表現ですが、要は「休憩するための椅子や机、睡眠するためのベッドが確保されているか」「その施設が使用できる状態に整理整頓され清潔な状態か」という事です。
会社の役員(株式会社・有限会社の場合)や社員(合同会社等の場合)に変更となった場合は、運輸局に変更届を提出する必要があり、それがきちんとなされているかをチェックする項目となります。
また、役員等の他にも「会社の名称」や「会社の本店所在地」に変更があった場合にも、運輸局に対して変更届が必要となります。
なお、役員等について会社の代表者(代表取締役や代表社員)に変更があった場合は、変更の都度変更届が必要ですが、それ以外の役員の変更については、1年間に起こった変更を毎年7月中に届け出ればよいことになっています。
事業用自動車以外の車両で運送行為を行っていないかという、いわゆる白トラ行為がないかをチェックします。
ご存じの通り、白ナンバーである自家用トラックにて運送業を行う事が違法であり、これに違反すると「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」が科される場合があります。
名義貸しとは、個人で運送業を行いたいと思っている人が運送業の許可を持っている会社の名義を借りて個人で営業することです。
実態としては、自分のトラックを運送会社に持ち込み、その会社で増車届を提出して事業用ナンバーにした後、運賃を会社に通さずに自分の売上とします。
名義を貸している会社側としては、ナンバー貸しの代金を定期的に貰う事ができ、借りている側としては白ナンバーでは受けられない仕事を受けて売り上げを伸ばすことができます。
もちろんこの行為は違法であり、判明した場合は巡回指導での評価が下がるだけでなく、運輸局による監査の原因となります。
次の記事は、トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(帳票類の整備、報告等)となります。
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