相談者様
運送業の許可は取得までどのくらい期間がかかるのでしょうか?
行政書士
申請から許可取得までは4~5ヶ月と国土交通省にて決められていて、それプラス申請までの準備期間がかかります。
相談者様
結構かかるんですね、申請までの期間はどのくらいかかるものなんですか?
行政書士
早い方で9ヶ月程度で、事務所や資金の確保に時間がかかる方で1年~1年半程度の期間がかかる傾向があります。
相談者様
具体的にどのような準備が必要となるのでしょうか?
行政書士
それでは必要となる準備と、それに必要となる期間について解説します。
それではこの記事では「許可取得を決断してから申請までに要する期間」と「申請から許可が下りるまでに必要な期間」の2つの段階に分けて詳細に解説していきます。
許可を取得する意思を決めてから、実際に申請できる段階までの時間は、事業者様ごとに異なります。
しかしながら、許可申請を行うまでに行う主な手続きは次の通り大まかに決まっており、これらをどのようなスピード感で行うかが申請までの期間を短縮するカギとなります。
それぞれの概要と目安期間について概説します。
なお、現状ダンプや生コン車を使って事業をしている方は、これらの設備はおおむね揃っているでしょうからスキップすることができます。
運送業の許可申請は、法人でも個人でも行う事ができます。
しかし、実際のところ個人で申請する方は少数で、ほとんどの方が法人で申請することとなります。
法人で申請する場合は、許可申請の前に法人設立の手続きを行う必要があり、会社名や役員等会社の設立に必要な事項を決めて、法務局に設立登記を申請します。
期間の目安としては、1~2か月程度見ておく必要があります。
なお、既に他の事業で会社を持っているという方は、その会社で運送業の許可を申請することもできます。
その場合、会社の事業目的に「一般貨物自動車運送事業」と入っていない場合は、申請までに入れておきましょう。
運送業の許可を取得するためには、事務所や車両を始めとする様々な設備が必要となります。
最低限必要となる設備は法律で決まっており、下記の3つです。
①、②の事務所・休憩室と車庫は運送業を営むにあたって必須の設備となります。
運輸局へ申請する前にこれらに使えそうな物件を探して、賃貸(または購入)の契約を結びます。
このことをお伝えすると「まだ事業が始まっていないのに契約を結ぶんですか?」という声をたまに頂きます。
そうなんです。
違和感があるかもしれませんが、許可の申請時に契約済みの賃貸借契約書(物件を購入する場合は売買契約書)のコピーを提出する必要があるため、この段階で賃貸か購入の契約が必要となります。
そのため契約前には、本当に運送業の許可が取れる条件を満たしているか、十分に確認することが必要です。
そしてこの確認は、都市計画法や建築基準法、車両制限令といった多数の法律に精通していいないと、誤った判断になる可能性があるため、専門家にしてもらうのが無難です。
こういった条件を満たす物件というのはそう簡単に見つかるものではありません。
特にトラックを停めておく車庫は、ちょうどよい広さの土地が出てくるかというのはタイミング次第になります。
さらにトラックについても、申請までに5台分手元にあるか、リース(または売買)契約を結んでおくことが必要です。
これらの物件・施設を探して、実際に契約が完了するのに早くて3か月、物件のタイミング次第では9か月程度かかることもあります。
従業員の確保については、一つ上で解説した「事務所、車庫、車両の確保」と同時進行で取組むことになります。
最低限必要となる人員は法律で決まっており、下記の3業種です。
①の運行管理者は運送業の許可を取るうえで最低1名必要と法律で決まっています。
運行管理者になるためには運行管理者試験という試験に合格する必要があり、試験は年に2回、3月と8月に開催されます。
②の整備管理者も運行管理者同様、最低1名必要と法律で決まっています。
整備管理者になれるパターンは次の2つです。
①に該当する人がいなくても、②のトラックの整備経験が2年以上ある人が1人でもいれば、講習を受けることで整備管理者になれます。
いずれも該当者がいない場合は、新たに雇い入れるしかないので、時間とコストがかかります。
③はそのままで、トラックの運転手が5名必要となるという事です。
許可を得るための最低車両台数が5台なので、それにあわせて運転手も5名必要です。
ここで、「従業員の確保」について、これまでと決定的に違う事が1つあります。
それは、申請までに確保する必要が無いという事です。
どういうことかというと、営業所や車庫、トラックについては、運輸局へ申請する段階で契約が済んでいる必要がありました。
でも運行管理者、整備管理者、運転手については申請時点で雇用している必要はありません。
あくまで確保する予定があるという事で、申請可能なんです。
では、申請したは良いものの、人員が揃わなかったらどうなるか?
その場合、揃わない人員がどの職種かによって扱いが異なります。
具体的には下記のような事になります。
運行管理者が揃わない:運行管理者が揃うまで許可が出ない
整備管理者が揃わない:整備管理者が揃うまで許可が出ない
運転手が5名揃わない:許可は出るが、運転手が揃うまで事業用ナンバーに変更できない
どのような場合にこうなるかというと、例えば社長自ら運行管理者になる計画で申請したが、運行管理者の試験に落ちてしまった場合などです。
運送業の許可は、通常申請から4ヶ月程度で下りますが、試験に落ちる等の理由で運行管理者が揃わないとなると、たとえ申請から1年経っても試験に合格するまで許可は出ません。
運転手については、5名揃っていなくても許可自体は出ますが、会社での雇用が確認できるまで事業用ナンバーに変更するための書類が発行されません。
その場合は、許可は出ているが事業用ナンバーに変更できないという宙ぶらりんな状態となります。
いずれにせよ、従業員の確保については営業所や車庫と違い、申請中に揃えるという対応が可能なので、確保にかかる時間的には「事務所、車庫、車両の確保」に包括されることになるでしょう。
運送業の許可を取得する際は、当面の事業運営資金があることの証明として、銀行が発行する残高証明書を提出する必要があります。
この残高証明書の金額は、申請者さんによって差があるので一概には言えませんが、1500万円~2500万円程度であることが多いです。
既に事業を行っている場合はともかく、これから会社を立ち上げて運送業の許可を取る場合、この事業資金を銀行の融資に頼ることになると思います。
この銀行からの融資に、結構時間がかかる場合があります。
もちろんこの融資についても、他の手続きと同時進行にて行うことになりますが、融資が決まらないと物件やトラックの手配がどうしても後手に回ります。
そのため早い段階から、いくつか銀行を回って融資の相談に行くことをオススメします。
運輸局に申請してから許可が下りるまでには、通常4~5か月程度かかります。
この間には法令試験に合格する必要があり、2度落ちてしまうと、申請は取り下げとなり、再申請をせざるを得なくなります。
そうなると、審査期間はリセットされ、また許可まで4~5か月程度待つこととなるので、注意が必要です。
また、特に関東地域では、法令試験に1度落ちただけでも、許可が遅れる傾向があるため、注意が必要です。
なお、申請中に営業所や車庫の位置が変更となったり、車両が増えたりすると「訂正追加申請」という申請を行う必要が発生し、この場合も許可が遅れる場合があります。
なので、なるべく申請時は確定した情報で行うようにする必要があります。
結論、許可取得の手続きを開始してから実際に許可が取得されるまでの最短期間は約9か月です。事務所や従業員の確保、資金調達に時間がかかる場合は、1年から1年半という事になります。
運送業の許可は、申請してからもそうですが、申請に至るまでの準備にかなりの時間を要します。
特に車庫の位置や誰を運行管理者にするかなど、事業継続にかかる重要な部分です。
段取りを間違えると、優良な物件や優秀な人材を逃してしまうリスクもあります。
そのため運送業の許可取得を心に決めたら、まだ許可の条件が揃っていなくても、専門家の相談のもと準備を進めていただけたらと思います。
当事務所は、許可申請代行のご依頼を前提とする事前相談については、特段相談料等をいただいておりません。
是非運送業許可申請のパートナーに「行政書士加藤タイシ事務所」をご検討いただければ幸いです。