運送業の営業所はプレハブでも大丈夫ですか?
営業所をプレハブとすること自体は問題ありませんが、“建物として適法な状態である”必要があります。
それはどういうことですか?
例えば、営業所を設けようとする場所が「市街化調整区域」という地域だと、そもそも基本的に事務所とする建物が建てられません。
プレハブも市街化調整区域の制限を受けるのですか?
プレハブであっても建物に変わりはありませんので、制限を受けます。そして建物である以上きちんと基礎を打って自治体に建築確認申請という申請を行う必要があります。
運送業許可取得において、営業所をプレハブにしたいという相談をよく受けます。
今回はそんなプレハブを運送業の営業所とする場合について解説します。
結論として、運送業の営業所はプレハブでも問題ありません。
現に車庫内に設置したプレハブにて、運送業の営業所として認可を得ている事業者様は沢山いらっしゃいます。
しかし、運送業の営業所として認可を得るには、プレハブであっても、戸建てであっても、集合住宅であっても、次に解説する営業所として認められる条件を満たさなければなりません。
要するにプレハブだから認可が下りる下りないという話ではなく、営業所としての条件を満たせばどのような建物であっても認可は降りるという訳です。
それでは、運送業の営業所として認められるための条件を解説します。
主に下記の3つの条件を満たす必要があります。
一つずつ簡単に解説します。
その建物を所有しているか、借りているかして、自分が(申請する会社が)使用できる状態であればOKという事です。
所有している場合は建物の謄本を、賃貸の場合は賃貸の契約書を提出することで証明します。
プレハブの場合は、注文書や納品書を提出することで証明する場合もあります。
この条件はプレハブ営業所とするうえで、特に問題にはなりません。
事業を行うのに必要な広さを確保できればOKです。
明確な広さの定義はあありませんが、経験上6畳程度の広さがあり、事務机や椅子、パソコン等の設備があれば、問題ありません。
この条件もプレハブ営業所とするうえで、特に問題にはなりません。
問題となるのはコレです。
プレハブ営業所とする場合、冒頭でも説明した通りその建物は法律的に問題ない状態でないといけません。
その都市の全体的な計画を定める「都市計画法」や、建築物自体の構造を定める「建築基準法」などの法律をクリアする必要があるのです。
先程説明した通り、プレハブの営業所で問題となる点は「建物の適法性」です。
もっと具体的に言うと、「建築確認申請をクリアできるかどうか」です。
建物を設置する場合は、役所に建築確認申請という申請をし、建物として適法な状態であると認められなければなりません。
そして通常、建物は基礎工事をしていないと、この建築確認申請は通らないので、単にプレハブをクレーンで吊って置いただけでは、適法な状態と言えないのです。
しかし、実際には「基礎工事をしていなプレハブはたくさんあるじゃないか!」と思われるかもしれません。
たしかに、地方の空地には明らかに基礎工事をしていないプレハブを見かけることが多々あります。
しかし同時にそのプレハブは、おそらく営業所として認可を受けている建物ではありません。
今回の使用用途はあくまで運送業の営業所です。
そして営業所として使用するためには、運輸局へ申請し、その建物が営業所としての認可を得る必要があります。
ここで建物が適法でないと、その認可は通らず、却下されてしまいます。
つまり、ただの物置としてのプレハブであれば、認可を得る必要がないので、役所に見過ごされているかもしれませんが、運送業の営業所として使用する場合は認可が必要なので、法律を守り正しい手順を踏む必要があるという事です。
プレハブを運送業の営業所とする場合は、法律上問題ない状態で、プレハブを設置する必要があります。
運輸局に申請する際に、審査員が「このプレハブは法律を守って設置されているか」というのをチェックし、守られていない場合は、営業所としての認可が下りないからです。
実際に申請をしてみたら、基礎が打っていないため認可が下りず、基礎を打ちなおすのに余計なお金がかかってしまったという話もあります。
営業所をプレハブとする際は、まずは専門の行政書士などに相談し、建築確認申請は建築事務所等に頼んで、確実な手順を踏んで進めるようにした方が良いです。