介護タクシーとは「高齢者や障がいを持つ人々など、移動が困難な人々を有償で運搬する」サービスです。
通常のタクシーと違い、体の不自由な方がスムーズに移動できるよう、車いすや横になったまま乗り降りができるようなストレッチャーを積んでいます。
このページでは介護タクシーという言葉を初めて聞いたという方でもわかるよう、全体像を中心に分かりやすく解説します。
昨今の日本では少子高齢化が進み、障がい者の数も増加傾向にあります。
介護タクシーはそのような方々方に向けたサービスであるため、既に需要過多ではありますが、今後一層の需要の増加が見込めます。
さらに介護タクシーは、運送業の許可にしては珍しく、少ない資本で進められるビジネスです。
開業費用の目安はおおよそ「150万円+自動車の費用」といった感覚です。
これはいわゆる緑ナンバートラック事業である「一般貨物運送業」の約1/10の開業費用です。
人員も地域によって異なりますが、1~2人で始めることができ、必要な資格も最初は「第二種免許普通自動車免許」だけです。
昨今は事業のスモールスタートが注目されており、まさに時流に即したビジネスモデルと言えます。
介護タクシーを開業するには、営業所を管轄する運輸支局に申請し国土交通大臣の許可を得ることが必要です。
介護タクシーとは、通称名であり正式には「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)」といいます。
さらに、一定の条件をクリアする必要があり、多くの添付書類を用意する事も求められるため、許可取得の難易度が高い部類に入ります。
介護タクシーを開業する場合、次のような順番で進めます。
介護タクシーの許可を得るうえで、絶対に必要な資格があります。
それが、第二種免許普通自動車免許です。
開業後に運転手として働こうと思っている方は、まずは自動車学校で二種免許の取得をする必要があります。
介護タクシーを開業するには、そのための営業所や休憩施設、車庫が必要となります。
これらの施設は、自宅の一室でも問題ありませんが、都合によって自宅が使えない場合は物件を探しておく必要があります。
また、他にも開業にあたって車両を購入する場合は、車屋さんで見積もりを取っておくと今後の手続きがスムーズになります。
介護タクシー開業の許可は、許可取得の要件として約200万円~400万円程度の資金があることが求められます。
自己資金でそれだけの金額を用意することが難しい場合は、金融機関からの融資を受けて資金を用意します。
まずは銀行や政策金融公庫などの金融機関に相談し、融資の準備を同時並行で進めていきましょう。
融資の金額を決めるために、車両の見積もりや営業所の家賃が分かる書類の提出が必要となる場合があるので、前もって用意しておくと良いです。
介護タクシー開業の許可申請書には、記載する内容の証明のため多くの書類(一般的に「添付書類」といいます。)を用意する必要があります。
確保した営業所や車庫の「賃貸借契約書」や、車両の「見積書」もその一部です。
その他にも「営業所・求積図、車庫の図面や写真」、「戸籍抄本」や「履歴書」、資金の証明のための「残高証明書」などなど様々な添付書類を集める必要がります。
許可取得のための要件を満たし、決められた添付書類を揃えることができたら、いよいよ申請書を作成し運輸局へ申請します。
申請から許可までの審査機関は、2ヶ月と決められており短縮することはできません。
運輸局への申請が完了すると、法令試験が開催されますので、申請者様(法人で申請する場合は役員様)に受験していただきます。
この法令試験に合格できないと、許可取得が出来ないため、何とかして合格する必要があります。
ちなにみ法令試験は、毎月1~15日までに申請のあった場合は翌月中旬に、16~末日までに申請のあった場合は翌月下旬に開催されます。
審査期間が経過し、法令試験にも合格すると、介護タクシーの許可が下ります。
ただ、許可が下りてすぐに運送業が開始できるかというと、実はそうではありません。
この後も様々な手続きが必要です。
許可が下りたらナンバープレートを事業用の「緑ナンバー」に変更します。
自動車任意保険についても、自家用から事業用に切り替えることで、晴れて介護タクシーの営業を開始することができます。
営業を開始したら、「運輸開始届」という書類を運輸局に提出し、これで一連の介護タクシーの許可取得の手続きが全て終了します。
先程の「申請の流れ」でも少し解説しましたが、一般貨物自動車運送業の許可を取得するためには、一定の要件をクリアする必要があります。
要件は大きく分けると「ヒト」「モノ」「カネ」に分けることができます。
ではその要件を一つ一つ確認していきましょう。
福祉車両の運転や、利用者の乗り降りの介助を行います。
許可を取得する上では、最低1人確保する必要があります。
運転手に関しては、「申請の流れ」でもお伝えした通り、第二種免許普通自動車免許が必要となります。
介護タクシーを開業する上では、介護の資格が必須ではなく努力義務となっています。
しかし、運転手は乗り降りの介助も行うため、介護系の資格があると安心ですし、多くの方が資格を取得されています。
まだ介護系の資格をお持ちでない方は、まずは「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
使用する車両が車いすを固定できる車両でない場合については、介護の資格が必須となります。
運転手を出発前に点呼したり、その日の運行ルートなどの管理する役職です。
車両の数が4台までであれば特に資格は必要ありませんが、5台以上になると「運行管理者の資格」が必要となります。
また、運転手の点呼をする立場であるため、運転手と違う方でないといけません。
介護タクシーの最低開業人数は2人なのは、この規定があり、運転手と運行管理者が兼任できないためです。
車両が5台以上になると、整備管理者の資格も必要となります。
介護タクシーの許可を取得するためには、事業で使用する「営業所と休憩施設」を用意する必要があります。
営業所・休憩施設については特に広さや設備に関しての決まりはなく、一般的な事務作業ができて休憩ができれば問題ありません。
自己所有でないといけないという縛りもなく、大家さんの承諾があれば賃貸でも大丈夫です。
ただ一つ注意すべきことは、営業所として使用できない場所が法律で決まっている(用途地域による制限といいます。)ため、物件を決めてしまう前に用途地域の調査が必要となります。
営業所や休憩施設と同じく、福祉車両を駐車しておく車庫を用意する必要があります。
こちらも車両が全て収まれば、広さの制限はなく、賃貸でも問題ありませんが二つ注意点があります。
一つ目の注意点は、車庫に面する道路の幅が狭いとその車庫は介護タクシーの車庫として認められないということです。(車両制限令に適合するといいいます。)
そのため車庫においても、契約の前に車両制限令に適合しているか調査が必要となります。
二つ目の注意点は、営業所から離れすぎてはいけないという事です。
介護タクシーの車庫は、営業所から直線距離で2km以内でないといけないという制限があります。
営業所と車庫の物件を新たに下がる場合は、この点に注意して探すようにしましょう。
実際にお客様を載せるためのタクシー車両が、1台以上必要となります。
トヨタのウェルキャブのような、車いすを固定できる車両をイメージされるかと思いますが、法律上は軽自動車や普通の自家用車であっても介護タクシーの車両として使用すことができます。
ただし、先ほど解説したとおり、自家用車等で介護タクシー業務を行う場合は、介護の資格が必要となりますので、その点はご注意ください。
法律上、介護タクシーの車両は自家用車でも問題ありません。
しかし、自動車任意保険の料金やお客様の負担を考えると、車いすを固定できる福祉車両を使用するのがベストであると言えます。
介護タクシーの許可を取得するためには、当面の運転資金が確保されていることを証明する必要があります。
運転資金とは具体的に、下記のような項目です。
項目 | 備考 |
---|---|
車 両 費 | 購入費用(リースの場合は1年分のリース料) |
営業所の建物 | 購入費用(賃貸の場合は1年分の賃借料及び敷金等) |
車庫の土地 | 購入費用(賃貸の場合は1年分の賃借料及び敷金等) |
機械器具及び什器備品 | 購入費用 |
運転資金 | 人件費、燃料油脂費、修繕費等の2ヶ月分 |
保険料等 | 保険料及び租税公課(1年分) |
そ の 他 | 創業費等開業に要する費用(全額) |
これらの運転資金を合計すると大体どのくらいの金額になるかというと、「150万円+車両費」が目安となります。
なお、営業所となる建物や車庫の土地が自己所有で、賃料がかからないという場合は、これよりも安くなるケースもございます。
当事務所では、まずはお客様の情報をヒアリングし、介護タクシーの許可申請が可能であるかを判断いたします。
現時点で許可の申請はできないと判断した場合、報酬をいただくことはありませんのでご安心ください。
すぐに申請可能、もしくはあと一歩で申請可能である場合には、今後行っていいただく事など適切なアドバイスを行い複雑な申請書作成や運輸局とのやり取りは、すべて当事務所にて行います。
また、既に介護タクシーの許可をお持ちの方で、営業所や車両等の変更手続きにつきましてももちろん当事務所にて承ることが可能です。
業務 |
料金(税込み) |
---|---|
新規許可 |
275,000円 |
営業所変更認可 |
165,000円 |
車庫変更認可 |
132,000円 |
商号・本店・役員変更届 |
22,000円 |
増減車届 |
22,000円 |
実績報告書 |
22,000円 |
※新規許可の場合、登録免許税として別途30,000円必要となります。