運送業の事故報告書について必要となる事故や記載方法について解説!

事故報告書とは、事業用自動車が転覆、落下、火災等の重大な事故を起こした際に、事故の内容等を記載して運輸局に対して報告する書類のことを言います。

 

基本的に事故発生から30日以内に、事故を起こした車両が所属する営業所を管轄する運輸支局に提出します。

 

さらに2名以上の死者が出たといった特に重大な事故については、24時間以内に運輸局に対して速報が必要となるケースもあります。

 

事故報告書は、運送業の営業所ごとに作成・管理をし、3年間書面又はデータとして保管しておかなければなりません。

 

事故報告書の提出が必要となる事故

 

事業用自動車が事故を起こした場合、必ず事故報告書が必要となるわけではなく、あくまで重大事故の場合のみです。

 

事故報告書の提出が必要となる重大事故は自動車事故報告規則 第二条に定められており、次に掲げるものです。

 

  1. 自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又は鉄道車両と衝突し、若しくは接触したもの
  2. 十台以上の自動車の衝突又は接触を生じたもの
  3. 死者又は重傷者を生じたもの
  4. 十人以上の負傷者を生じたもの
  5. 自動車に積載された危険物、火薬類、高圧ガス、核燃料物質等、放射能物質等、毒物又は劇物、可燃物の全部若しくは一部が飛散し、又は漏えいしたもの
  6. 自動車に積載されたコンテナが落下したもの
  7. 酒気帯び運転、無免許運転、大型自動車等無資格運転又は麻薬等運転を伴うもの
  8. 運転者又は特定自動運行保安員の疾病により、事業用自動車の運行を継続することができなくなったもの
  9. 救護義務違反があつたもの
  10. 自動車の装置の故障により、自動車が運行できなくなったもの
  11. 車輪の脱落、被牽けん引自動車の分離を生じたもの(故障によるものに限る。)
  12. 橋脚、架線その他の鉄道施設を損傷し、三時間以上本線において鉄道車両の運転を休止させたもの
  13. 高速自動車国道において、三時間以上自動車の通行を禁止させたもの
  14. 前各号に掲げるもののほか、自動車事故の発生の防止を図るために国土交通大臣が特に必要と認めて報告を指示したもの

 

以上の14項目に該当する事故を起こしてしまった場合は、事故報告書の提出が必要となります。

 

起こした事故が、こちらの項目に該当するかどうかわからない場合は、迷わず管轄の運輸局に問い合わせて、判断を仰ぎましょう。

 

事故報告書の書き方

 

事故報告書の様式は決められており、次の表裏2ページになっています。

 


 

基本的には、備考欄以外の欄を漏れなく記載する必要があります。

 

実際に記載する際は、国土交通省による事故報告書の記載例を参考にすると良いです。

 

運転者の健康状態に起因する事故

 

先程紹介した、事故報告書の提出が必要となる14項目のうち、8項目目の「運転者又は特定自動運行保安員の疾病により、事業用自動車の運行を継続することができなくなったもの」による事故の場合は、下記の書類を記入して提出する必要があります。

 

車両故障に起因する事故

 

先程紹介した、事故報告書の提出が必要となる14項目のうち、10項目目の「自動車の装置の故障により、自動車が運行できなくなったもの」による事故の場合は、下記の書類を記入して提出する必要があります。

 

運輸局に対して事故速報が必要となる事故

 

下記に記載した重大事故が生じたときは、事故報告書だけではなく、事故の概要等を速報する必要があります。

 

  1. 2人以上の死者が生じたとき
  2. 5人以上の重傷者が生じたとき
  3. 10人以上の負傷者が生じたとき
  4. 酒気帯び運転を伴う事故が生じたとき
  5. 自然災害に起因する可能性のある事故が生じたとき
  6. 報道等で取り上げられるなど社会的影響が大きいと認める事故が生じたとき
  7. 脳疾患、心臓疾患及び意識喪失に起因すると思われる事故が生じたとき
  8. 事故による危険物等の積載物が飛散・漏洩したとき

 

速報の方法

 

速報は、事故を起こした自動車が所属する営業所を管轄する運輸支局に対して、事故発生から24時間以内に、電話・FAX等の方法により行います。

 

速報によって伝えるべき事項は、下記の通りです。

 

  • 事業者名
  • 登録番号
  • 事業形態
  • 発生日時
  • 発生場所
  • 事故、事件の概要
  • 積載物品名、数量及び漏洩した数量
  • 負傷者の有無、人数及び負傷の程度
  • その他判明している事項

 

また、運輸支局だけでなく警察(110)や消防(119)に対しても速報が必要となります。