巡回指導とは、トラック協会が運送会社に対して行う「法令を守って運営をしているか」どうかの確認と指導です。
まずは巡回指導当日に、トラック協会の指導員によってチェックされる項目をご紹介します。
事業計画等
帳票類の整備、報告等
運行管理等
車両管理等
今回解説する項目
労働基準法等
法定福利費等
赤文字で記載した項目は、特に重要とされる項目となります。
こちらの記事は、
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(事業計画等)
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(帳票類の整備、報告等)
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(運行管理等)part1
トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(運行管理等)part2
の続きとなります。
今回の記事では、㉗~㉛の「車両管理等」についての解説を行います。
整備管理規定とは、事業用自動車に必要な点検・整備の内容など整備管理者の職務及び権限などを定めた書類で、運送事業者にはその作成と保管が義務付けられています。
整備管理規定については、各運輸局やトラック協会の様式をダウンロードして使って問題ないですが、規定の実施日や補助者名簿が空欄のままになっている場合があるので、記入を忘れないようにしましょう。
整備管理規定は営業所にて備え付けが義務付けられている書類であるため、営業所にて保管をしておきましょう。
整備管理者とは、事業用自動車が安全に運行できるよう自動車の整備や管理を担う役職であり、営業所に最低1人以上の選任が必要となります。
整備管理者の選任についても、運行管理者の選任同様重要項目の一つであるため、必ず選任するようにしましょう。
選任届の様式は、各運輸支局のホームページにてダウンロードすることができます。
選任方法としては、選任届の様式に整備管理者の氏名や住所など定められた項目を埋めて、資格を証明する書類を添付して各運輸支局の保安課に2部提出します。
そのうち1部は控えとして返却されますので、その整備管理者が所属する営業所にて保管をしておきましょう。
また、整備管理者が変更となった場合は、変更から15日以内に、やはり各運輸支局の保安課に変更届を提出する必要があります。
整備管理者については「運送業許可取得において整備管理者がいない場合」という記事にて詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
整備管理者は新たに選任された場合、選任された翌年度末日までに1回以上、以降2年ごとに整備管理者選任後研修という研修を受講しなければなりません。
なお、ここでいう年度末というのは会社で定めた年度ではなく、3月末という意味です。
運行管理者については、選任された年度内に受講が必要だったのに対し、整備管理者については選任された翌年度末までという事で、受講までの期間が異なります。
この研修については、各運輸支局が定期的に開催しており、受講することができます。
また、運行管理者の一般講習と同じで、受講に関して特段運輸局等から通知は届きませんので、自社でしっかり受講時期を管理しておく必要があります。
事業用自動車の運転手は、乗車前にブレーキやタイヤを始めとする自動車の機能や部品等について、目視による点検を行わなければなりません。
点検する項目については、下記の通り法律で定められています。
点検箇所 点検内容 1 ブレーキ 1 ブレーキ・ペダルの踏みしろが適当で、ブレーキの効きが十分であること。
2 ブレーキの液量が適当であること。
3 空気圧力の上がり具合が不良でないこと。
4 ブレーキ・ペダルを踏み込んで放した場合にブレーキ・バルブからの排気音が正常であること。
5 駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当であること。2 タイヤ 1 タイヤの空気圧が適当であること。
2 亀き裂及び損傷がないこと。
3 異状な摩耗がないこと。
(※1)4 溝の深さが十分であること。
(※2)5 ディスク・ホイールの取付状態が不良でないこと。3 バッテリ (※1) 液量が適当であること。 4 原動機 (※1)1 冷却水の量が適当であること。
(※1)2 ファン・ベルトの張り具合が適当であり、かつ、ファン・ベルトに損傷がないこと。
(※1)3 エンジン・オイルの量が適当であること。
(※1)4 原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないこと。
(※1)5 低速及び加速の状態が適当であること。5 灯火装置及び方向指示器 点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がないこと。 6 ウインド・ウォッシャ及びワイパー (※1)1 ウインド・ウォッシャの液量が適当であり、かつ、噴射状態が不良でないこと。
(※1)2 ワイパーの払拭しよく状態が不良でないこと。7 エア・タンク エア・タンクに凝水がないこと。 8 運行において異状が認められた箇所
当該箇所に異状がないこと。
(注)
① (※1)印の点検は、当該自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に行うことで足りる。
② (※2)印の点検は、車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上の自動車に限る。
自動車点検基準 別表第1(事業用自動車、自家用貨物自動車等の日常点検基準)より引用
これらの項目を点検後、日常点検表という点検個所についての可否を記録しておく書面に記録します。
その後、日常点検表をもとに点検結果を整備管理者に点検結果を報告し、それを受けて整備管理者はその日の運行の可否を決定します。
日常点検表は、その自動車が所属する営業所に1年間保管しておく必要があります。
事業用自動車は、一つ前で解説した日常点検に加えて3ヶ月ごとに51項目、12ヶ月ごとに101項目の点検整備が義務付けられています。
こちらは点検項目が多いため、整備工場等に外部委託する場合が多いと思います。
外部に委託する場合、点検漏れというのはあまり考えられませんが、点検結果については1年間営業所にて保管しておかなければなりません。
また、この定期点検の項目についても怠ると事故に直結する項目であるため、重要項目に指定されています。
くれぐれも点検を忘れることのないよう、しっかり管理しましょう。
次の記事は、トラック協会による巡回指導項目対を徹底解説!(労働基準法等)(法定福利等)となります。
こちらも是非ご覧ください。