運送業の許可を取得したらすぐに営業開始できますか?
運送業は許可を取得してすぐに営業開始できるわけではなく、実際に営業を開始するまでに様々な準備が必要となります。
どのような手続きが必要ですか?
多くの準備があるので一概には言えませんが、大きく分けて下記の「従業員に関する準備」「車両に関する準備」「営業所に関する準備」があります。
この記事では、営業開始(一般的に「運輸開始」といいます。)までに行う事のうち、営業所に関する準備をまとめました。
この記事を最後まで読むことで、許可取得後に少しでも早く運輸開始できる方法が分かります。
営業所の表札を作成して、入り口付近の見やすい場所に掲載しましょう。
法律上表札に記載する文字は社名のみで問題ありませんが、一般的には「一般貨物自動車運送事業 株式会社○○運輸 ○○営業所」といった具合にします。
なお、車庫に表札や看板を設けることは任意とされているため、宣伝等による効果を狙う場合は、営業所と一緒のタイミングで準備しておくとよいでしょう。
法律上、運送会社については設定した運賃料金表と運送約款を、営業所の見やすい場所に掲示する必要があります。
一般貨物自動車運送事業者は、運賃及び料金(個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。)を対象とするものに限る。)、運送約款その他国土交通省令で定める事項について、主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示するとともに、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国土交通省令で定める場合を除き、国土交通省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)により公衆の閲覧に供しなければならない。
貨物自動車運送事業法 第11条より引用
さらに、運賃料金表と運送約款について、営業所での掲示だけでなく、自社のウェブサイトにて公開しなければなりません。
法第十一条の規定による公衆の閲覧は、一般貨物自動車運送事業者のウェブサイトへの掲載により行うものとする。
貨物自動車運送事業法施行規則 第13条より引用
ただし、下記に該当する場合はウェブサイトでの公表はする必要がなく、引き続き営業所での掲示のみで大丈夫です。
一 一般貨物自動車運送事業に常時使用する従業員の数が二十人以下である場合
二 一般貨物自動車運送事業者が自ら管理するウェブサイトを有していない場合
貨物自動車運送事業法施行規則 第13条の2より引用
運送約款については、全日本トラック協会のホームページにて標準的な様式をダウンロードすることができます。
運送事業者には、日々の業務を行うにおいて、一定の書類を記録し保管する義務があります。
具体的には、運転者台帳、点呼記録簿、運転日報、日常点検表などでこれらを総合して帳票類と言います。
営業開始後にこれらの書類をすぐに記録できるよう、あらかじめ帳票類のひな形を用意しておきます。
帳票類のひな形については、許可取得を依頼している行政書士が用意する場合や、加入したトラック協会が配っているパターン等があります。
下記に主な帳票類の種類と概要を説明します。
雇用した運転者の情報を記録するための台帳の事を指します。
運転者の氏名、住所、運転免許証の番号等を記載し、その運転手が所属する営業所に備えおく必要があります。
運転手の常務前と常務後に行う点呼についての結果を記録します。
点呼日時、運転手の健康状態、アルコールの検知結果等を記載し、営業所に備えおきます。
点呼は運送業を行う上で大変重要となる行為であり、それを記録する点呼記録簿も重要な帳票類の一つです。
運転手が行った1日の業務について、日報という形で記録します。
出庫・入庫の時間、荷主の名称や輸送品目について記載します。
最近はデジタコに運転日報の機能が不随している事も多く、そのデータを保存することで運転日報
の代わりとすることができる場合もあります。
「従業員に関する準備」にて解説した、初任運転者研修の記録簿です。
本来、運転者指導教育については、国土交通省が出している「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」にもある通り、毎年実施する必要があります。
実施後は、日時・場所・内容を記録し、3年間保管します。
事業用トラックについては、業務にて使用される性質上、過酷な使用をされる場合もあるため、定期的な点検が必要となります。
定期点検は3ヶ月ごとに行い、12ヶ月目では点検項目を増やして実施することが必要です。
点検後は記録簿を作成し、点検した自動車に備えおき1年間保管します。
また、記録簿の写しをその自動車の所属する営業所にも1年間保管しておきます。
飲酒運転根絶のため、平成23年5月から運転手に対する点呼において、アルコールチェッカーの使用が義務化されました。
アルコールチェッカーは、原則として営業所に1つ備え付けてあればよく、例外として遠隔地にて電話点呼等をする場合には携帯型のアルコールチェッカーを運転手に携帯させるか、各自動車に設置する必要があります。
なお、アルコールチェッカーは、故障がなく確実な検知を実施するため「電源が入ること」と「損傷がないこと」を毎日チェックする必要があります。
また、少なくとも週に一回以上「酒気を帯びていない者が使用した際に、アルコールを検知しないか」と「アルコールを含む液体またはこれを希釈したものを口内に噴霧して検知器を使用した際に、アルコールを検知すること」についても確認する必要があります。
アルコールのチェックは点呼を行う上で特に重要であるため、国土交通省が定めた「点呼の際のアルコール検知器の使用について」というページにて詳しく記載があります。
IT化が進む昨今では、運行スケジュールの自動作成や車両の位置情報などをリアルタイムで把握できる運行管理システムを導入する企業が増えています。
運行管理システムは運行効率の向上だけでなく、燃費の改善や余剰車両の削減、運行効率の最適化により、運送業務全体のコスト削減が期待できます。
現在は様々なメーカーが、運行管理システムを商品化して提供しています。
「製品のタイプは自社に合うか」「運転手はストレスなく使えるか」等を考慮して、自社にあう製品を導入するようにしましょう。
今回は、運送業の営業開始までに必要な手続きのうち、営業所に関する準備について解説しました。
運送業の許可は取得して終わりというわけではなく、その後も様々な手続きが続きます。
「運送業の許可を取得したい」「運送業の許可取得手続きで疑問がある」という方はお気軽にお問い合わせください。
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