相談者様
運送業の許可を取得するためには、どのような人員が必要ですか?
行政書士
運行管理者や整備管理者、運転手などの人員が必要です。
相談者様
なるほど、運転手は1人いればよいのでしょうか?
行政書士
いいえ、車両が5台必要なのと同じで運転手についても5人必要です。そのほかにも様々な決まりがあるので解説します。
運送業の許可を取得するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
この満たさなければならない条件を「要件」といい、大きく分けると「人員の要件」「設備の要件」「資金の要件」があります。
今回は、3つのうちの「人員の要件」について解説するわけですが、必要な人員は次の4種類です。
それでは、これら4つの人員要件について一つずつ解説します。
運行管理者とは、その名のとおり運行を管理・監督する役職を指し、運送業の中で輸送の安全性、効率性、及びサービス品質を確保するための重要な役割を果たしています。
具体的な職務は、運行計画の策定や点呼を始めるとする運転手の管理などです。
重大な法令違反による事故があった場合は、その会社の代表者だけでなく運行管理者についても処罰されることがあることから、会社の代表者が運行管理者を兼任することも多くあります。
運行管理者を確保しようと思ったときに、考えられるパターンは2つです。
一つ目の方法は、会社の誰かが運行管理者試験に合格し、運行管理者の資格を取得するというものです。
メリットは、これから運行管理者として仕事をする方を現時点で選択できる点と、比較的費用をかけずに確保することができるという事です。
先ほども言いましたが、運行管理者は運送業を営む上で重要な役割を担うため、信用できる方になってほしいというのが社長の本音であると思います。
デメリットは、試験に合格しなければいつまでも許可が取れないという事と、試験が年に2回、3月と8月にしかないので時間がかかるという事です。
二つ目の方法は、既に資格を持っている方を新たに雇用する場合です。
メリットは運行管理者としての経験を持っていれば即戦力となることや、試験勉強をする手間が省けるといった事が挙げられます。
デメリットとしては、会社に合わなかった場合にすぐに退職してしまう可能性があることや、採用にコストがかかる点でしょうか。
いずれにしろ運行管理者は運送業の許可取得だけでなく、運営をしていく上でも必ず必要となる人員です。
それぞれのメリット・デメリットを考えて、その会社に合った方法で見つけるのが大切となります。
運行管理補助者は、その名の通り運行管理者を補助する役割を担う人員です。
基本的には運行管理者が不在の際に、代わりに運転手の点呼を行ったり、運行管理者の補助業務を行います。
運行管理補助者は法令上必ず必要な役職ではありません。
ただし仮に運行管理者が1人しかいなく、運行管理補助者も居ないとなると、運行管理者が休んだり退職した場合に一切運行ができないという事になりますので、実質必須の存在という事になります。
運行管理補助者になるためには、運行管理の基礎講習を受講する必要があります。
基礎講習は、NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)で受講することが出来ます。
整備管理者は、車両や車庫の整備・管理を行う役職を指し、車両の安全な運行を確保するために、適切な整備や点検を行う役割を持っています。
具体的な職務は、車両の整備計画の策定・管理や点検整備の実施、また運転手と兼任することも多いです。
整備管理者を確保する方法の前に、まずは整備管理者になる事ができるパターンを2つ紹介します。
こちらのパターンは単純で、次の資格を持っていれば整備管理者になることができます。
もう一つは、過去に自動車整備の経験がある方が、整備管理者になれるパターンです。
整備の経験と言っても、専門として行っていたような場合だけでなく、運転手として日常点検をしていたというレベルで大丈夫です。
つまり、運送会社で2年以上運転手をしていた方であれば、誰でも整備管理者になれる可能性があるという訳です。
受講の必要がある研修についても、運行管理者のような試験があるわけではなく、1日数時間の研修であるため申し込みをすれば誰でも受講できます。
整備管理者を確保する際の考え方は、運行管理者の時とは少し違います。
会社の誰かを整備管理者にしたいと考えたときに、そもそも誰も運送会社で働いたことが無ければ、研修を受けて整備管理者になるパターンは使えません。
かといって、今から整備士の資格を取得しようと思っても、整備士の資格は所定の学校を卒業していないとそもそも試験が受けられないパターンが多く、現実的ではありません。
つまり、結論としては社内に2年以上運送会社での経験がある方がいればその方を整備管理者にし、いなければ新たに雇い入れるしかないという事です。
最後はトラックを運転する運転手です。
車両の台数に合わせて5人以上必要となります。
基本的に運行管理者と兼任することはできませんが、先ほど解説した運行管理補助者を用意することで運行管理者とも兼任できるようになります。
つまり、次のような構成が可能という事です。
運転手については特段年齢制限はなく、運転免許を持っていればどなたでも選任することができるので難しく考える必要はありません。