運送業の車庫を選ぶときの注意点はありますか?

運送業に使用する車庫を選ぶ際は、様々な部分に注意を払う必要があります。
それぞれどんな点に注意すればよいか、詳しく解説します。

 

営業所からの距離に注意する

 

運送業の車庫は原則として営業所に併設している必要があります。

 

例外として、仮に営業所に併設できない場合は、中部地方では直線距離で10km以内に車庫を設けなければならないと決められています。

 

既に営業所は確保している段階で車庫を探している場合は、営業所からの距離に注意して探すようにしましょう。

 

なお、まだ営業所も車庫も候補地が決まっていない場合は、先に車庫を探すことをお勧めします。

 

なぜかというと、営業所となる建物よりも、車庫とする土地の方が数が大幅に少ないからです。

 

そのためまず車庫を探して、車庫内に営業所を設けるor車庫の付近に営業所を設けるという順番が効率が良いです。

 

車庫の広さに注意する

 

運送業の車庫を探すときは、車庫の広さにも注意しましょう。

 

許可が取れるかどうかだけの問題であれば、車両の前後左右の長さに+50センチを加えて、全ての車両が収容できる広さであれば問題ありません。

 

 

しかし、これから事業を行う上で増車をしたり、車庫内に点呼場などを設置して車両を停めるスペースが削られる可能性もあります。

 

そのような場合を見越して、少し広めの車庫を確保しておくに越したことはないでしょう。

 

ちなみに増車する場合、運輸局の申請書の様式では普通車が38㎡、小型車が11㎡で計算されます。

 

車庫の地目に注意する

 

土地の登記簿謄本をご覧になったことがある方は、ご存じかもしれませんが土地には一つ一つ「地目」というものが定められています。

 

地目とは、その土地の使用用途を定めた概念で、宅地・雑種地・山林・田・畑など20種類以上が定められています。

 

この中で、田と畑の2つを農地と言い、農地法という法律によって扱いが定められています。

 

農地は、農地法によって基本的に農業にしか使用できないと定められているため、車庫として使用することができません。

 

例外的に農地を別の地目に変えて車庫として使用できるようにすることもできないわけではありませんが、農地転用という別の手続きが必要となります。

 

車庫として使用したい土地が農地である場合、農地転用をするか、別の車庫を探すか決めなければなりませんので、地目は土地の契約前に入念に確認する必要があります。

 

車庫の前面道路に注意する

 

最後は、車庫の前面道路の道幅(幅員)に関する注意点です。

 

車庫から出庫する車両が一番最初に接続する公道の道幅は、その車庫に停める車両に適合する道幅がないといけません。

 

これを車両制限令による制限と言います。

 

基準となるのはあくまで一番最初に接続する公道であるため、車庫から出てすぐの道が私道である場合は、その先の公道の道幅を気にするようにしましょう。

 

 

 

では、道幅はどのくらいの広さがないといけないかというと、安心できる基準が5.5mです。
その根拠となる条文を載せておきます。

 

1 市街地を形成している区域(以下「市街地区域」という。)内の道路で、道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと認めて指定したもの又は一方通行とされているものを通行する車両の幅は、当該道路の車道の幅員(歩道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路で、その路肩の幅員が明らかでないもの又はその路肩の幅員の合計が一メートル未満(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・五メートル未満)のものにあつては、当該道路の路面の幅員から一メートル(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・五メートル)を減じたものとする。以下同じ。)から〇・五メートルを減じたものをこえないものでなければならない。
2 市街地区域内の道路で前項に規定するもの以外のものを通行する車両の幅は、当該道路の車道の幅員から〇・五メートルを減じたものの二分の一をこえないものでなければならない。
3 市街地区域内の駅前、繁華街等にある歩行者の多い道路で道路管理者が指定したものの歩道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない区間を道路管理者が指定した時間内に通行する車両についての前二項の規定の適用については、第一項中「〇・五メートルを減じたもの」とあるのは「一メートルを減じたもの」と、第二項中「〇・五メートル」とあるのは「一・五メートル」とする。
車両制限令 第5条より引用

 

基本的にはこの条文にある通り、[(道路幅-0.5m)÷2]にて求められた数字以下の車幅のトラックであればクリアという事になります。

 

例えば道幅が5.5mと仮定すると、(5.5m-0.5m)÷2=2.5m
つまり、2.5m以下の車幅のトラックであればクリアという事になります。

 

基本的なトラックの車幅は2.5mまでであるため、安心できる基準が5.5mだという事です。

 

ただし、条文にもある通り道路が一方通行であったり、交通量によってもこちらの計算式は違ってきますので、車庫の契約前には車両制限令による証明を取得して確認するのが最善の策であると言えます。

 

車両制限令の取得に関して詳しく知りたい方は、車両制限令の取得方法をご覧ください。

 

ご相談はお気軽に

 

運送業の車庫を選ぶときの注意点は以上です。

 

運送業で使用する車庫を探しているが、いざ見つかった車庫で認可が下りるか分からない」「運送業の車庫に関する手続きをお願いしたい」という方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

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