運送業の許可に必要な車両制限令とは何ですか?
車両制限令とは、駐車しようとする車両に対して、その駐車場の目の前の道路の道幅が適正であることを証明する公的書類です。
そうなんですか、その車両制限令はどのように取得すればよいのでしょうか?
基本的に取得したい道路を管理している自治体に申請することで取得することができます。
運送業の許可を新しく取得する場合は、車庫を増設する場合には必ず車両制限令(道路幅の許可)が必要となります。
扱いに慣れている場合はさほど難しい手続きではありませんが、初めて車両制限令を取得するという場合は苦戦するポイントもあるかと思います。
この記事では、そんな車両制限令を取得する際の手続きについて解説します。
具体的な手続きを解説する前に一点だけ前置きです。
先程、車両制限令は必ず必要となるとお伝えしましたが、不要となるパターンが1つだけあります。
それは車庫から出庫する車両が一番最初に接続する公道が国道である場合です。
この場合は車両制限令を取得する必要はなく、車庫の前面道路の道幅の要件はクリアしたものという扱いになります。
ちなみに、「一番最初に接続する道路」の考え方は下記の図を参考にしてください。
なお、市区町村によっては「車両制限令」という名称ではなく、「幅員証明書」や「幅員証明願」という名称で扱っている場合もあります。
車両制限令を取得するための流れは、次の通りです。
それでは一つずつ解説します。
まずは車両制限令を取得したい道路が、「県道」なのか「市道」なのか「国道」なのか確認します。
県道や国道であれば、道路上や看板に「県道○○号」というような記載がある場合もありますが、ない場合はぱっと見で道路の種類は分かりません。
そのような時はとりあえず、車庫がある市役所に電話して道路を管理している部署に繋いでもらいます。
はい、○○市役所電話交換台です。
すみません、道路のことで問い合わせたいのですが。
分かりました、道路管理課へお繋ぎします。
お電話道路管理課に代わりました。
○○市○○町1-1の目の前を通っている道路についてお伺いしたいのですが。
かしこまりました、道路の何をお調べしますか?
道路の名称と幅員をお願いします。
少々お待ちください、、、。こちらは市道〇〇号線で幅員は○○メートルです。
このような感じで道路の種類を確認します。
ここではついでに幅員も確認していますが、これはあまりにも幅員が狭い場合は、車両制限令を申請しても不許可になるため事前に確認します。
なお、この道路が仮に市道ではなく県道だった場合は、県に問い合わせるよう言われますので、問い合わせ先の連絡先を聞いておきましょう。
道路の種類が分かったところで、次は車両制限令の様式を入手します。
たいてい各市区町村役場で指定の様式があります。
こちらの道路で車両制限令を申請したいのですが様式はありますか?
市のホームページに様式を載せています。「○○市役所 車両制限令」と検索してみてください。
これですね、郵送でも受け付け可能ですか?
郵送でも大丈夫です、その場合は返信用封筒を入れておいてください。
分かりました、この様式に記入して1部送ればいいですか?
申請書は2部送ってください。あと添付書類として案内に記載されているものを用意してください。
わかりました、では作成したら「○○市役所 道路管理課」宛へお送りします。
このように申請書の様式と申請方法について確認します。
様式については、ホームページからのダウンロードの他に「FAXにて送付」「メールにて送付」「窓口にて交付」などいくつかパターンがあります。
なお、市道であれば会話のように管轄の市役所に問い合わせればよいのですが、県道の場合は問い合わせ先が地域によって少し複雑なので、愛知県内の県道に関する管轄を下記にまとめておきます。
機関 | 所管区域 |
---|---|
名古屋市役所 | 名古屋市 |
尾張建設事務所 | 瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡東郷町、西春日井郡豊山町 |
一宮建設事務所 | 一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市、丹羽郡(大口町、扶桑町) |
海部建設事務所 | 津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡(大治町、蟹江町、飛島村) |
知多建設事務所 | 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、知多郡(阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町) |
西三河建設事務所 | 岡崎市、額田郡幸田町 |
西尾支所 | 西尾市 |
知立建設事務所 |
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜 |
豊田加茂建設事務所 | 豊田市、みよし市 |
新城設楽建設事務所(設楽支所) | 新城市、北設楽郡(設楽町、東栄町、豊根村) |
東三河建設事務所 | 豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市 |
先程の会話にも少し出てきましたが、車両制限令を申請する時は、何種類かの添付書類を求められる場合が多いです。
添付書類は車両制限令の様式の下の部分に書いてあることが多いです。
こちらは、春日井市や小牧市を管轄する尾張建設事務所の様式ですが、添付書類が様式下部に列挙されています。
添付書類は次の4つですね。
それぞれ簡単に作成方法を解説します。
これは簡単に言うと、車庫がどの部分であるかを示した図です。
Googleマップを貼り付けて、車庫の住所を打ち込むのがもっとも簡単に作成できると思います。
実際に作成してみると、このような感じです。
公図とは、法務局で管理している土地の形や区画、地番などが記されている地図のことを言います。
実際に法務局が公表している公図のサンプルを見ていただくと分かりやすいと思います。
こちらは位置図のように自分で作るわけではなく、法務局に申請することで簡単に取得することができます。
こちらの図面は、車庫の形や出入口の位置、周りの道路の配置などを記載した図面です。
こちらも実際に作成した図面をご覧ください。
もちろん手書きでもかまいませんので、このような図面を用意します。
車庫に配置する車両の車検証です。
配置する車両分すべて添付するよう求められる自治体もあれば、一番大きな車両の車検証だけで良いとする自治体もあります。
2023年1月4日より、車検証がICタグを貼付した電子車検証に変更されており、こちらの新しいタイプの車検証の場合はA6サイズ相当の「自動車検査証」だけではなく、A4サイズ縦書きの「自動車検査証記録事項」も添付するようにしましょう。
添付書類が準備できたら、ダウンロード等によって取得した車両制限令の様式に必要事項を記入して申請する準備をしましょう。
記載方法については、下記を参照してください。
申請書が記載出来たら、作成した添付書類と一緒に役所に申請を行います。
申請方法を確認した際に、郵送での申請でも良いとされていた場合は、レターパック等に返送用封筒と一緒に入れて郵送します。
仮に窓口での申請しかできないとされている場合は、役所にアポを取り申請に伺います。
市区町村役場によって異なりますが、平均して2週間程度で車両制限令を取得できます。
取得出来たら、この書類は後々運輸局に提出しなければなりませんので、大切に保管します。
今回は、車両制限令を取得する手続きについて解説しました。
当事務所は車両制限令の取得のみの代行も承っております。
「他の手続きは自分で行うので、車両制限令の取得だけお願いしたい」という方はお気軽にお問い合わせください。
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