運送業の許可取得のために必要な書類は何ですか?

運送業の許可を取得するためには、申請書に必要な書類を添付して管轄の運輸支局に提出する必要があります。

 

地域によっても対象異なりますが、その必要な書類とは、次の13種類です。

 

  1. 定款の写し
  2. 貸借対照表の写し
  3. 履歴事項全部証明書の原本
  4. 役員の履歴書
  5. 運行管理者の資格者証写し
  6. 運行管理補助者資格者証写し
  7. 整備管理者の資格者証写し
  8. 車両の使用権原を証明する書類
  9. 営業所・車庫の使用権原を証明する書類
  10. 営業所・車庫の案内図、求積図、写真
  11. 車両制限令による証明願または幅員証明書
  12. 利用運送契約書写し
  13. 残高証明書

 

今回は、法人で運送業の許可を取得することを前提として、これらの書類について準備する方法も踏まえてわかりやすくに解説します。

 

定款の写し

 

定款とは、会社に関する様々な情報を記載しており、その会社のルールブックと比喩される事もある重要な書類です。

 

会社の商号や本店の位置などの基本的な事から、役員を選任する方法や決議の定足数など詳細な事まで、様々な重要情報が載っています。

 

定款は会社を設立する際に必ず作成する書類です。
そのため「どこに保管してあるか分からない」という方は、会社を設立する時の書類と一緒になっているかもしれません。

 

それでも見当たらない方は、会社の設立を依頼した司法書士さんや税理士さんなどに一度問い合わせてみるのがいいと思います。

 

なお、定款は法務局などの役所で保管しているような書類ではないので、どうしても見つからない場合は作りなおさなければなりません。

 

貸借対照表の写し

 

貸借対照表とは、一定期間の会社の業績や、会社全体の資産や負債のような経営状況を示す決算書の一部である書類です。

 

通常、決算書は税理士や公認会計士のような専門家と顧問契約を結び、作成してもらうため「決算から数か月後に税理士さん等から渡される」という方もいいのではないでしょうか、

 

その中に貸借対照表があるので、そちらをコピーしておきましょう。

 

履歴事項全部証明書の原本

 

履歴事項全部証明書とは、会社の商号や本店住所、事業の目的や役員の氏名等の情報が載っている公的な書類で、登記簿謄本とも言います。

 

定款と似ていますが、載っている情報は定款よりもかなり少なく、公的書類であるため法務局で取得できるという点に違いがあります。

 

定款が会社のルールブックなら、履歴事項全部証明書は会社自体の名刺のようなイメージでしょうか。

 

こちらはコピーではなく原本が必要なことに加えて、提出期限が法務局で取得してから3ヶ月と決められているため、取得時期に注意が必要です。

 

役員の履歴書

 

会社の役員さんの履歴書も必要となります。
記載する事項は、一般的な履歴書と同じで現住所や最終学歴、職歴を記載します。

 

もちろんどこかに就職するわけではないので、志望動機や事故PRは要りません。
また、顔写真も不要とされてる地域が多いです。

 

なお、役員とは先程説明した履歴事項全部証明書に名前が記載されている方のことを言います。

 

社内で「執行役員」と役職が決められても、履歴事項全部証明書に「取締役」や「監査役」として載っていなければ、履歴書は不要という事です。

 

運行管理者の資格者証写し

 

運行管理者の資格があることの証明として、資格者証の写しが必要となります。

 

まだ、今後試験を受けようとしているが、まだ合格していないという場合は、とりあえず試験の申込書の写しを添付すれば申請の受付自体はしてもらえます。

 

しかし、運行管理者が確保できていない状態では申請はできても許可が出ないので注意しましょう。

 

なお、運行管理者資格者証は試験に合格すると自動で貰えるものではなく、管轄の運輸支局に資格者証の交付申請を行う必要があります。

 

愛知運輸支局にて交付申請を行う場合は、支局が公開している運行管理者資格者証の交付手続き方法に載っています。

 

交付申請書の様式についても、愛知運輸支局のホームページからダウンロードすることができます。

 

さらに詳しく運行管理者について知りたい場合は、運送業許可取得において運行管理者がいない場合をご覧ください。

 

運行管理補助者資格者証写し

 

運行管理補助者とはその名の通り、運行管理者を補助する役職を言います。
運行管理者に変わって、その営業所で行う総回数の2/3までの点呼を、代わりに行う事ができます。

 

なお、誰でもなれるわけではなく、NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)国土交通省が認定した事業者で3日間の基礎講習(貨物)を修了していることが必要となります。

 

そして、表題の「運行管理補助者資格者証写し」とは、この基礎講習の修了証書の写しのことを言っています。

 

運行管理補助者は、本来必ず必要な役職ではないのですが、仮に運行管理者が仕事を休んだ時に点呼出来る方がいなくなってしまうので、実質必須の存在となります。

 

整備管理者の資格者証写し

 

整備管理者を確保できている証明として、次の書類のいずれかが必要となります。

 

  • 整備管理者選任前研修修了書
  • 3級以上の整備士資格者証

 

整備管理者選任前研修修了書の入手方法

 

こちらの書類を入手するには、運輸支局が開催する整備管理者選任前研修という講習を受ける必要があります。

 

こちらの講習の受講日程や概要については、運輸支局のホームページにて確認することができます。

 

3級以上の整備士資格者証の入手方法

 

なんとなく想像できるかと思いますが、こちらは整備士の国家試験に合格することで取得することができます。
この中でも最も取得しやすいのは、次の3級整備士資格かと思います。

 

  • 3級自動車ガソリン・エンジン整備士
  • 3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
  • 3級シャシ整備士
  • 3級二輪自動車整備士

 

しかし、この中でも「3級二輪自動車整備士」はバイクに関する整備であるため、こちらを取得しても整備管理者にはなれませんのでご注意ください。

 

残りの3つのいずれかを取得するには、受験資格を持った方が一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)が実施する自動車整備技能登録試験を合格する必要があります。

 

さらに詳しく整備管理者について知りたい場合は、運送業許可取得において整備管理者がいない場合をご覧ください。

 

車両の使用権原を証明する書類

 

使用権原を証明する書類というと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「使用する権利がある事を証明できる書類」という事です。

 

そして今回は、その自動車を「持っている」か「買う」か「リースする」かによって用意する書類が異なります。

 

車両を持っている場合の書類

 

車両の所有者が自社である場合は、車検証の写しを用意すればOKです。(新車検証の場合は、自動車検査証記録事項も必要となります)

 

車両を買う場合の書類

 

車両をこれから購入する場合は、車両の注文書または売買契約書が必要となります。
なお、申請時点で車両が手元にある必要はないので、納車時期が先であっても問題ありません。

 

車両をリースする場合の書類

 

車両をリースする場合は、リース会社と結んだリース契約書が必要となります。

 

なお、リース会社によっては契約自体は許可取得でないとできないという場合があります。
そのようなときは一度運輸局に相談し、代わりの書類で対応可能であるか問い合わせてみるのが良いでしょう。

 

営業所・車庫の使用権原を証明する書類

 

この書類も車両と同様、その不動産を「持っている」か「賃貸する」かによって用意する書類が異なります。

 

物件を持っている場合の書類

 

営業所となる建物や、車庫として使用する土地を自社で所有している場合は、その建物まはた土地の登記事項証明書の原本が必要となります。

 

こちらも会社の履歴事項全部証明書と同様、取得から3ヶ月以内の有効期限があるため、取得する時期には注意しましょう。

 

物件賃貸する場合の書類

 

営業所となる建物や、車庫として使用する土地をその所有者から賃貸する場合は、賃貸借契約書の写しが必要となります。

 

賃貸借契約書について有効期限はありませんが、契約書の様式や契約期間に注意すべき点があるので、詳しく確認したい方は運送業許可取得において営業所・車庫を賃貸する時の注意点をご覧ください。

 

営業所・車庫の案内図、求積図、写真

 

営業所と車庫に関する図面や写真についても必要となります。
それぞれ簡単に概要を説明します。

 

案内図

 

案内図というのは、その名の通り営業所や車庫がどこにあるか第三者に案内するための書類です。

 

運輸局としては、許可後に監査などで営業所や車庫等に伺う場合、場所を把握できないと困るためこのような書類を求めているのだと思われます。

 

案内図はGoogleマップを使って作成すると、簡単で正確なものを作成することができます。

 

求積図

 

求積図とは、その施設の面積を求めるために必要な情報が書かれた図面の事です。

 

イメージとしてはまずは平面図を作成し、その中に面積を求めるために必要な数字を記載し、枠外や別紙に計算式と施設の面積の合計を記載します。

 

なお、求積図については営業所・車庫だけでなく休憩施設についても必要となります。

 

また、地域によっては営業所・休憩施設についてはドアや窓などの位置が分かる配置図を求められる場合もあります。

 

写真

 

営業所・休憩施設、車庫についての写真も必要となります。
基本的には施設の全体が分かるように、異なる視点から何枚か撮影します。

 

また、車庫の出入口付近については、その先の道路の様子もわかるように何枚か撮影しておくのがポイントです。

 

車両制限令による証明願または幅員証明書

 

こちらの書類はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、簡単に説明すると車庫に接する道路の幅に関する許可証です。

 

運送業の許可を取得するためには、使用する車両に適合した道幅に接する車庫を用意する必要があるのですが、この書類はその適合性を証明する書類となります。

 

この書類は、その道路を管理している市区町村役場に申請をすることで取得することができます。

 

一般貨物運送業という大きな許可を取得するために、車両制限令という小さな許可を取得するというイメージです。

 

利用運送契約書写し

 

こちらは必ず必要となる書類ではありません。
一般貨物運送業を行うに付随して、利用運送も行う場合にのみ必要となる書類です。

 

ここで提出する契約書は、別の運送会社と契約済みでないといけないため、外注先の運送会社さんに契約書にハンコを押してもらうよう予めお願いしておく必要があります。

 

残高証明書

 

この書類もあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、簡単に言うと銀行に預けている資金残高を示した書類です。

 

その資産を預けている銀行が発行してくれます。
この書類についても、発行からおよそ1か月の有効期限を設けている運輸局が多いので、取得時期に気を付ける必要があります。

 

なお、残高証明書は許可申請前と審査期間中の合計2回提出する必要があります。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?
かなり多くの書類が必要だという事がお分かりいただけたかと思います。

 

厳密に言うと、許可が取れた後にも「社会保険に加入している事が分かる書類」や「運転手の免許証の写し」を提出する必要があるのですが、とりあえず許可取得までに必要な書類は以上です。

 

 

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