突然ですが、日本で緑色の事業用ナンバーを付けて走っているトラックは、一般貨物運送業か特定貨物運送業のどちらかの許可を持っています。
特定貨物の方はトラックの側面に「特定」の文字がプリントされていますが、パッと見ただけではどちらの許可を持っているのかはわかりません。
そんな2つの運送業許可ですが、それぞれの許可にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では事業内容の違いや許可を取得する際の難易度なども触れながら解説します。
2つの許可の違いはズバリ荷主が“単数”か“複数”かの違いです。
運送業の許可は、荷主の依頼を受けて運賃を貰って荷物を運ぶ際に必要な許可です。
お客さんである荷主が1社(1人)であれば特定貨物、複数の会社であれば一般貨物運送業の許可が必要となります。
特定貨物は荷主が限定されているため、他に荷物を運んでほしいという別の荷主が現れても仕事を受けることができません。
基本的に特定の荷主専属の運送事業者になるという事なので、実は特定貨物の許可を取得する方は少数派になります。
荷主を限定することなく、依頼があれば運送を受託できるようにするためには、一般貨物運送業の許可が必要となります。
一般貨物と特定貨物の許可取得の要件はほとんど同じです。
ただし、車両の数に関しては特定貨物の方が要件が易しくなる可能性があります。
それでは、まずは一般貨物運送業の許可取得のための要件を解説します。
まずは運行管理者や運転手などの人員に関する要件を解説します。
運転手の点呼や運行の管理を行う運行管理者が1人必要となります。
運行管理者は、3月と8月に開催される運行管理者試験に合格することでなることができます。
車両や車庫の整備を行う整備管理者が1人必要となります。
整備管理者は、3級以上の自動車整備士の資格を持った方がなる事ができます。
整備士の資格を持っていない場合は、2年以上の整備実務経験+講習を受講することで整備管理者になる事もできます。
トラックを運転する運転手が最低5人必要です。
運転手は整備管理者を兼任することはできますが、運行管理者を兼任することができません。
次に営業所や車両などの施設に関する要件を解説します。
運送業を行う拠点である営業所と、運転手などが休む休憩施設が必要となります。
こちらの施設に関しては、市街化調整区域などの建物が建てられない地域に設けることはできませんので注意が必要です。
車両を駐車するための車庫が必要となります。
車庫については、原則営業所に併設していることが必要であり、例外的に離れている場合は一定距離内に設けなければなりません。
また、出入り口前の道路が狭いと運送業の施設として認められない場合があります。
荷物の運送に使用するトラックが5台以上必要となります。
無理にトラックを5台集める必要はなく、数合わせとして小型車やバン車を1台としてカウントすることもできます。
運送業を継続的に続けることができることを証明するために、1500万円~2500万円の金額が法人の口座にあることを証明しなければなりません。
この金額は、車両の種類など事業の計画によって前後します。
先程お伝えした通り、特定貨物運送業の許可取得の要件は今解説した一般貨物運送業の要件とほとんど同じです。
ただし、特定貨物については次の2点において差がありますので解説します。
基本的に一般貨物と同じく5台必要です。
ただし、国が定めた特定貨物運送業の許可申請に関する文書に次のような記載があります。
営業所毎に配置する事業用自動車の数は5両以上であること。ただし、特定の運送需要者の輸送量など実情に応じて中部運輸局長が個別に認める場合においては、この限りでない。
公示 中運局公示第277号より抜粋
こちらを見る限りは、荷主の会社規模や事業計画によっては5台を下回ることも認められる余地があるという事でしょう。
つまり、一般貨物は例外なく許可申請時は5台を下回ることはできませんが、特定貨物においては例外も認められるという事になります。
冒頭から解説している通り、特定貨物は荷主に関する制限があります。
同じく、国が定めた特定貨物運送業の許可申請に関する文書に次のような記載があります。
単数の者に特定され、当該荷主の総輸送量の80%以上を確保できること。
公示 中運局公示第277号より抜粋
これによると、荷主が単数であることはもちろんのこと、さらにその荷主が依頼する輸送の8割を引き受けることが条件になっています。