点呼記録簿について必要事項や記入例について解説!

運送会社にとって点呼は、業務を営むにあたって、日々欠かすことのできない重要なルーティンです。

 

点呼が疎かになっていたり、実施方法が間違っている場合は監査の対象となり、最悪の場合行政処分となってしまいます。

 

点呼を正しく行う事は、ドライバーの管理や事故防止だけでなく、これから運送業を続けていくにあたって重要な課題となるわけです。

 

今回はそんな点呼について、まず「正しい実施方法」を解説してから、次に「点呼簿への記録方法」を解説します。

 

点呼の実施方法について

 

まずは、「点呼は誰が実施するのか」「どのような方法があるか」「いつ実施するのか」など正しく点呼を実施するための方法を解説していきます。

 

点呼執行者

 

点呼は、運行管理者または運行管理補助者が実施しなければなりません。
さらに、全体の点呼の1/3以上を運行管理者が実施しなければならないというルールがあります。

 

つまり、全ての点呼を運行管理補助者に任せるという事はできないという訳です。
点呼の執行者に関するルールはこれだけ覚えておけば大丈夫です。

 

ちなみに、運行管理者と運行管理補助者の定義は次の通りです。

 

運行管理者

運輸局に対して、運行管理者として選任届を提出している者。

 

運行管理補助者

運行管理者基礎講習を修了しているか運行管理者の資格を持っていて、かつ会社の運行管理規定等で補助者と定めている者。

 

点呼の方法

 

点呼は原則として、対面によって行わなければなりません。
例外としてやむを得ない場合に限り、電話等の方法によって行う事ができます。

 

ここでいう電話等とは、直接対話できる携帯電話や無線機等の事を言い、メールやチャットのような文字だけのやり取りは認められていません。

 

点呼の方法に関する大原則はこの「原則対面」「やむを得ない場合のみ電話」2つです。
ちなみに、やむを得ない場合とはどのような場合かと言いうと、国土交通省で下記のように定められています。

 

「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で業務を開始又は終了するため、業務前点呼又は業務後点呼を運転者等が所属する営業所において対面で実施できない場合等をいい、車庫と営業所が離れている場合及び早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」には該当しない。

 

「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」 より引用

 

ちなみに点呼は、営業所ごとに定められた点呼場で行う必要があり、点呼場として営業所または車庫のいずれかを定めることができます。

 

点呼のタイミング

 

点呼を行うタイミングは、乗務前と乗務後の2回です。

 

さらに、乗務前と乗務後の2回の点呼が、いずれも対面で実施することができなかった場合に限り、運行中にも1回(中間点呼といいます。)合計3回行う必要があります。

 

乗務前の点呼については、なるべくトラックにて運行を開始する直前が望ましく、具体的には点呼の後5~15分以内に運行開始するのがベストです。

 

そのため運転手の出勤から運行までに時間が空いてしまう場合は、出勤時に乗務前点呼をするのではなく、運行開始直前に行うようにしましょう。

 

乗務後の点呼も同じで、運行終了後すみやかに行う事が望ましいです。

 

中間点呼については、2泊3日の運行等の際に必要となります。

 

この場合、1日目の乗務前点呼と3日目の乗務後点呼は対面により行う事ができますが、2日目に関しては乗務前・乗務後ともに電話等による点呼しかできません。

 

このような場合、2日目については乗務前・乗務後の点呼の他に、運行中もう一回電話による点呼が必要です。
普段と異なるタイミングであるため忘れやすいですが、必ず実施するようにしましょう。

 

点呼での確認事項

 

乗務前点呼にて運行管理者や補助者が運転手に対して確認するべきことは、貨物自動車運送事業輸送安全規則にて下記のように定められています。

 

さらに運行管理者から運転手に対しても、運行の安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。

 

乗務前点呼での確認事項
  • 酒気帯びの有無
  • 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
  • 日常点検の実施又はその確認

 

 

さらに乗務後の点呼については、確認すべき事項が下記のように変わります。

 

乗務後点呼の確認事項
  • 酒気帯びの有無
  • 自動車、道路及び運行の状況

 

中間点呼については、これらの乗務前点呼・乗務後点呼の項目両方を確認し、さらに運行の安全を確保するために必要な指示をしなければなりません。

 

点呼の記録・保存について

 

点呼の実施方法が分かったところで、次は「点呼を実施したら何を記録するのか」「どのように記録するか」「記録はいつまで保存するか」など正しく点呼を記録するための方法を解説していきます。

 

点呼の記録事項

 

運行管理者や補助者は、運転手に対して点呼を実施したら、実施記録として用紙などに残しておく必要があります。

 

この用紙を一般的に点呼記録簿と言い、特に様式などは定められていません。
そして、点呼記録簿に記録が必要となる事項については、国土交通省で下記のように定められています。

 

点呼等の際には、次の事項について記録しておくこと。
また、点呼を行った旨並びに報告及び指示の内容の記録・保存については、書面又は電磁的方法による記録・保存のいずれでも差し支えない。

 

(1) 業務前点呼
① 点呼執行者名
② 運転者等の氏名
③ 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
④ 点呼日時
⑤ 点呼方法
イ.アルコール検知器の使用の有無
ロ.対面でない場合は具体的方法
⑥ 運転者の酒気帯びの有無
⑦ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況
⑧ 日常点検の状況
⑨ 指示事項
⑩ その他必要な事項

 

(2) 中間点呼
① 点呼執行者名
② 運転者等の氏名
③ 運転者等が従事している運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
④ 点呼日時
⑤ 点呼方法
イ.アルコール検知器の使用の有無
ロ.具体的方法
⑥ 運転者の酒気帯びの有無
⑦ 運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況
⑧ 指示事項
⑨ その他必要な事項

 

(3) 業務後点呼
① 点呼執行者名
② 運転者等の氏名
③ 運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
④ 点呼日時
⑤ 点呼方法
イ.アルコール検知器の使用の有無
ロ.対面でない場合は具体的方法
⑥ 自動車、道路及び運行の状況
⑦ 交替運転者等に対する通告
⑧ 運転者の酒気帯びの有無
⑨ その他必要な事項

 

「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」 より引用

 

乗務前・乗務後・中間点呼ともにほとんど記載すべき事項が同じですが、乗務前点呼にのみ「日常点検」に関する確認事項があるのが分かります。

 

また、⑨の「指示事項」については当日の天気や道路状況に関する注意事項やその週の会社目標などを伝えておきます。

 

⑩については特になければ無しでよいですが、運転者に明らかに見て取れる異常などがあれば記載すると言われています。

 

点呼の記録方法

 

実際に記載してみると、下記のようになります。

 

 

この様式は中間点呼についての記載がありますが、会社によっては2泊以上の運行が全くない場合もあると思います。

 

そのような場合は、中間点呼なしの様式もありますので、そちらを使用するのが良いでしょう。

点呼の保存方法

 

点呼記録簿は1年間営業所にて保存しておかなければなりません。

 

紙またはデータいずれの方法で保存して問題ないのですが、点呼執行者のサインや確認記録は手書きによるのが一般的です。

 

保存期間も1年と短いので、紙ベースで保存しておくことをお勧めします。