運輸局による監査は、一般的に営業所に監査官が来る臨店による監査で、その内容と流れは概ね次の通りです。
ただし、事業者や法令違反等の状況によって多少異なりますので、ご了承ください。
監査は原則として何ら通知なく、管轄の運輸支局の監査官が営業所に訪問します。
重大事故等を引き起こした際に行われる特別監査の場合は、午前中から行われる場合が多く、それ以外の一般監査の場合は特に時間に法則性はありません。
立ち合いが必要となるのは社長かその営業所の代表者、運行管理者です。
その後、監査官は監査を行うべき理由と修了日時の予定等を言い渡し、監査の実施を宣言します。
なお、監査官が訪れた際に、これらの方が不在の場合は日にちを改めて実施される場合もありますが、やはりその後の日時も知らされないことが多いです。
まずは、「営業所や車庫の場所はどこか」「荷主はどんな企業がいるか」「主に何を運んでいるか」等の運営に関する質問から「点呼をどこで行っているか」や「1日の運行回数や走行距離はいくつか」等の運行状況に関する質問が続きます。
おそらく監査官はこれらの質問を行う事で、今後どこを重点的に調査するかを確認しているのだと思われます。
その後は複数人の監査官で、運輸局への申請書等の控えや日報・点呼簿などの帳票類、営業所に備え付けが必要な約款や運賃料金表など片っ端からチェックしていきます。
それらの書類に疑問があれば、監査官からその都度質問がされ、状況によっては丸一日以上かかる場合もあります。
監査官からの質問については、正直に話してしまうと法令違反を認めることとなったとしても、百戦錬磨の監査官を欺くことは難しいうえ、嘘が発覚するとその後の対応にも影響するので正直に答えましょう。
調査が終わると、監査官は今回の監査についての報告書を作成します。
その報告書は、監査官によって読み上げられ事業者へ通知されます。
通知される事項は、主に「軽微な違反」と「明確な違反」に分けられ、軽微な違反についてはその場で口頭による注意と改善の方法を伝えられます。
明確な違反については、その違反をもって行政処分となるため、違反の内容のみが告げられます。
結果の通知が終わると、先ほど通知された法令違反等の内容が記載された通知書が渡されます。
この確認書には、今回の監査があった事と法令違反の事実を認めるという意味で署名捺印を行う必要があります。
その後、監査官は法令違反の証拠となる書類のコピーを持って帰り、この日は終了となります。
営業所での立ち入り監査終了後、しばらくすると運輸局より「改善報告書」という書類が届きます。
これは、今回の行政処分に関する法令違反の内容が記載された書類です。
今後この改善報告書に、改善した事項等を記載して運輸局に提出します。
また、この書類と一緒に「弁明書の提出について」という書類も届きます。
こちらの書類には今回科される行政処分の内容が記載されており、これに対する弁明をしようとする場合は弁明書を提出するよう記載されています。
ただし、弁明書の提出については、あくまで今回の行政処分に不服がある場合のみなので、必ず提出しなければならないわけではありません。
弁明書を提出しても、一度決定した行政処分が取り消されたり、軽くなる可能性はかなり低いと思っておいた方が良いです。
改善報告書が届いてから、およそ1か月程度経過すると運輸局の担当から行政処分の決定に関する連絡が入ります。
また、郵送でも「輸送施設の使用停止及び付帯命令書」という、行政処分の命令が記載された書類が届きます。
輸送施設とは、すなわち事業用トラックの事なので、車両の使用停止命令という事です。
この書類には、車両の停止を命ずる内容の他に違反の改善のために行う呼出監査に関する日程や、違反に対する車両の使用停止日数などが記載されています。
また、この書類の他に車両の使用停止には至らずとも改善の必要のある事項について「警告書」も一緒に届く場合があります。
届いた命令書に記載されている日時に、車両のナンバーを取り外し車検証の原本と一緒に運輸支局に一時的に返納します。
返納する期間は命令書に記載がある通りで、どの車両にするかは指定がある場合とない場合があります。
使用停止期間が満了したら、再びナンバープレートを付けるため仮ナンバーを付けて陸運局にて手続きをするか、出張封印にてナンバー取り付けを行います。
先程も少し解説しましたが、車両の停止処分が終わっても法令違反に関する改善報告をしなければなりません。
一番最初に届いた「改善報告書」に改善した内容を記載し、それを証明する書類を添付して運輸支局へ持っていきます。
これを呼出監査やフォローアップ監査とも言い、期日までにすべての法令違反を改善する必要があります。
この呼出監査にて法令違反の改善報告が終われば、監査は終了となります。