運輸局による監査について解説

相談者様

 

運輸局による監査とは何ですか?

行政書士

 

監査とは、法令違反の疑いがある事業者や重大な事故を起こしてしまった事業者に対して行う調査の事です。

相談者様

 

なにをきっかけに実施されるのでしょうか?

行政書士

 

監査が行われる原因は様々ありますが、主に民間からの通報や、トラック協会の適正課からの情報提供を受けて、営業所を管轄する各運輸支局の監査官が実施します。

相談者様

 

監査が入ると、どうなりますか?

行政書士

 

その監査で法令違反等が発覚した場合は行政処分となり、一定期間事業用トラックの使用停止などのペナルティを受ける可能性があります。

この記事では運輸局による監査について巡回指導との違いや種類、実施方法について解説します。

 

巡回指導との違い

 

お客様から「今度監査が来る」と言われ、よくよく話を聞いてみると巡回指導のことを言っているという事が良くあります。

 

そのように混同されがちな巡回指導ですが、監査と巡回指導は次のように異なります。

 

監査 巡回指導
実施する機関 運輸支局の監査官 都道府県のトラック協会
実施の要因

・法令違反の疑いがある
・重大事故の発生
・悪質交通違反の発生
・民間や各機関からの通報
・その他虚偽の報告、呼び出しの拒否などの事情

新規許可取得時または営業所新設時から3~6か月以内に原則として実施される
実施項目

・法令遵守に関する調査
・その他事業者への質問

・法令遵守に関する調査
・その他事業者への質問

事前通知 原則無通知 実施日のおよそ1か月前に書面で通知
所要時間 丸1日程度 30分~3時間程度
実施後の処置 法令違反の事実があった場合は行政処分

・法令遵守状況の評価(A~E)
・改善指導

 

こうして比べてみると、違いがよくわかると思います。

 

監査と巡回指導の一番の違いは、監査は運輸局が行うため、法令違反があった場合は行政指導を科す権限があります。

 

それに対して巡回指導は、トラック協会の適正化事業実施機関が行うため、行政指導を科す権限がなく法令違反があったとしても、改善指導をするにとどまります。

 

しかし、指導にとどまるとはいえ重大な法令違反があった場合は、その後運輸局に対して通報が行われ、結果として監査となるケースもあるため、巡回指導だからと言って甘く見てはいけません。

 

監査の種類と実施方法

 

運輸局が行う監査には次の3つがあります。

 

  1. 特別監査
  2. 一般監査
  3. 街頭監査

 

この中で街頭監査は、主に貸切バス事業者に対して行う監査であるため、トラック運送業に関係するのは特別監査と一般監査です。

 

それではこれらの違いについて解説します。

 

特別監査

 

特別監査は、事故報告書の提出が必要なほどの重大事故を引き起こしてしまった場合や、通報や内部告発により重大な法令違反があるという疑いが生じた場合などに行われる監査です。

 

よくニュースで、重大事故を起こしてしまった運送会社に対して「今後監査が行われる予定です」といった報道を耳にしたことがないでしょうか。

 

これが「トッカン」とも言われる特別監査です。

 

原則通知なしで午前中に営業所に3~4人の監査官がやってきて、社長又は営業所長、運行管理者等に対応を求めます。

 

その時の状況によっても変わりますが、おおよそ丸1日にわたって、帳票類のチェックと運行管理体制や法令順守に関する質問が続きます。

 

一般監査

 

一般監査は、特別監査の実施には該当しないものの、整備不良による死傷事故事故報告書の提出義務違反巡回指導の評価による通報などが原因で行われる監査です。

 

またこれらの明確な原因が無くても、運輸局が総合的に監査を行うべきだと判断した場合にも行われることがあります。

 

こちらも特別監査と同じで原則通知なしで実施されますが、おおよそ2~5時間程度で終わる場合が多いです。

 

しかし、法令違反等が多い場合はそれ以上に時間がかかる場合もありますし、一般監査の結果から特別監査が行われる場合もあるので、十分注意する必要があります。

 

監査の実施方法

 

監査の種類に加えて、監査の実施方法についても次の3つのパターンがあります。

 

  1. 臨店監査
  2. 呼出監査
  3. 呼出指導

 

これらも一つ一つ違いについて解説します。

 

臨店監査

 

臨店監査とは、監査官が営業所に立ち入る形で行う監査の実施方法を言います。
先程説明した、特別監査や一般監査は、この臨点による方法にて実施されます。

 

運輸局にて認可を受けている営業所にて行われるのが原則ですが、場合によっては営業所以外の点呼場や事務所にて行われることもあります。

 

また原則として通知なしでの立ち入りとなるため、その日代表者や運行管理者がいない場合は、日にちを改めて後日となるケースもあります。

 

呼出監査

 

呼出監査とは、その名の通り会社の代表者や運行管理者を管轄の運輸局窓口等に呼び出して行う監査を言います。

 

この実施方法は、違反が確定している場合など営業所に伺う必要がないと判断された場合に行われます。

 

また、臨店監査の際に改善するよう言い渡された事項について、改善状況を報告するためにも使用され、これを特にフォローアップ監査とも呼びます。

 

呼出指導

 

こちらは厳密に言うと監査ではありませんが、監査に似た行為であるためここで紹介します。

 

比較的軽い違反などの疑いがある場合に実施され、運輸局に自主的に確認項目を点検した自主点検表の提出を命ぜられます。