運送会社を設立する際の注意点はありますか?

運送会社を立ち上げるには、まず株式会社や合同会社等の法人を設立し、その法人で一般貨物自動車運送業許可を取得する必要があります。

 

そして、最初の法人の設立する段階において、本社の住所事業目的を決める際に注意すべき点があります。

 

どのような点に注意すればよいか、それぞれ解説していきます。

 

本店所在地

 

一つ目の注意点は会社の本社住所である「本店所在地」です。
本店所在地の候補としては「社長の自宅住所」もしくは「運送業の営業所住所」の2つが挙げられます。

 

基本的にどちらを選んでも問題ないのですが、経営状況によって運送業の営業所は移転するつもりなのであれば、本店所在地は社長の自宅にすることをお勧めします。

 

なぜかというと、運送業の営業所を移転する時に、法人の本店所在地の移転登記も行う必要が出てくるからです。

 

その際の手間や登録免許税を支払う事を考えると、移転する予定であれば運送業の営業所は会社の本社住所にしない方が良いと言えます。

 

事業目的

 

二つ目の注意点は、どのような事業を行う会社であるかを示す「事業目的」です。

 

冒頭で説明した通り、法人の設立後に運送業の許可を申請するわけですが、その際に事業目的にて運送業を行う事がわかるよう求められます。

 

そのため、法人を設立する際は事業目的に「一般貨物自動車運送事業」の文言を入れておきましょう。
また、自社で運びきれない荷物を他社へ外注する場合は、利用運送を行う事を示す「貨物利用運送事業」の文言も入れておきます。

 

他にも運送業から派生する可能性のあるものとして下記の事業があります。

 

  • 産業廃棄物収集運搬業
  • 貨物軽自動車運送事業
  • 梱包荷役作業
  • 倉庫業
  • 自動車販売事業
  • レンタカー事業
  • 自動車回送事業
  • 古物商

 

事業目的は後から追加することもできますが、手間や登録免許税がかかるため、設立時点で行う可能性があるものは、あらかじめ事業目的に入れておくことをお勧めします。

 

役員

 

三つ目の注意点は、会社の意思決定や経営を行う「役員」です。
一般貨物自動車運送業の許可を取得するためには、会社の役員が下記の「欠格事由」に該当していないことが求められます。

 

一 許可を受けようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。

 

二 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知が到達した日(同条第三項により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。第四号において同じ。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第六号及び第八号において同じ。)であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)であるとき。

 

三 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(許可を受けようとする者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの(以下この号において「許可を受けようとする者の親会社等」という。)、許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの又は当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもののうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。

 

四 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞の通知が到達した日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 

五 許可を受けようとする者が、第六十条第四項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 

六 第四号に規定する期間内に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出があった場合において、許可を受けようとする者が、同号の聴聞の通知が到達した日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 

七 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前各号(第三号を除く。)又は次号のいずれかに該当するものであるとき。

 

八 許可を受けようとする者が法人である場合において、その役員のうちに前各号(第三号を除く。)のいずれかに該当する者があるとき。

 

貨物自動車運送事業法 第五条より引用

 

万が一これらの欠格事由に該当してしまうと、その会社で許可が取れなくなってしまうので、最初に確認しておきましょう。

 

また、運送業の許可を取得するには「法令試験」という運送業に関する法令の試験を役員のどなたかが合格する必要があります。

 

設立の段階で、試験が得意な方や法令に詳しい方を役員に入れておくと、後々の法令試験を楽にパスできるかもしれません。

 

契約名義に注意

 

これは設立に関する注意点ではありませんが、運送業に使用する事務所や車庫を契約する際、個人ではなく法人で契約する必要がありますので注意しましょう。

 

仮にもともと個人で契約した施設をそのまま使用する場合は、現在の名義を個人から法人へ変更する手続きが必要となります。

 

 

ご相談はお気軽に

 

今回は、運送会社を設立する際の注意点について解説しました。

 

運送会社を設立したい」「運送業の許可取得手続きで疑問がある」という方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

スマホの方は下記のメニューバーからお電話、メールいただけます。