運送会社の役員が変更となった場合どのような手続きが必要ですか?
運送会社の役員が変更となった場合は、法務局にて役員変更登記と、運輸支局にて役員変更届出の2つの手続きが必要です。
それぞれどのように違うのでしょうか?
申請先や管轄の役所が違います。この記事ではこの2つの手続きの違いに触れながら、役員が変更となった場合の手続きについて解説します。
まず初めに、運送会社に限らず会社の役員が変更となった時は、法務局にて役員が変わったことを登記します。
この登記という言葉はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、法務局で行う大切な手続きとなります。
主に司法書士が、この登記についての専門家であり、代理して申請をしてくれます。
この役員変更の登記することで、会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の役員欄が変更となり、新しい役員の情報が載ります。
しかしそれだけでは、運輸局にて管理している役員の情報は更新されません。
法務局に申請したように、運輸局に対しても役員が変更になった旨の報告をしなければならない事になっています。
仮に運輸局で管理している情報が古いままだと、巡回指導にて指摘され評価が落ちたり、車庫を新たに増やすなどの何らかの申請をした際に、役員の情報が合わず審査が止まってしまう等の不都合が生じます。
そうならないためにも、会社の役員が変更となった時は法務局だけでなく、運輸局に対しての手続きも忘れないようにしましょう。
法務局で役員変更の登記が完了したら、運輸局での役員の変更に関する手続きをします。
運輸局に対して行う役員の変更手続きの正式名称は「一般貨物自動車運送事業の施行規則に基づく届出書」といいます。
こちらの様式は中部運輸局のホームページや各都道府県の運輸支局のホームページからダウンロードすることができます。
また、各運輸支局の窓口に紙ベースで様式が置いてあることもあります。
役員の変更届の提出期限について、役員の中でも代表者が変更となった場合は、変更後遅滞なく届け出る必要があります。
それ以外の役員については、7月1日から翌年6月30日までに生じた変更を、翌年7月31日までに届け出るという決まりがあります。
しかし、変更の都度届け出る事も可能であるため、忘れないように変更があったらなるべく早めに届け出ることをおすすめします。
運輸局に対して行う役員の変更手続きには、新たに就任する役員が「欠格事由に該当していないことの宣誓書」を添付する必要があります。
役員が宣誓する内容は下記のとおりです。
一 許可を受けようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。
二 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知が到達した日(同条第三項により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。第四号において同じ。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第六号及び第八号において同じ。)であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)であるとき。
三 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(許可を受けようとする者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの(以下この号において「許可を受けようとする者の親会社等」という。)、許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの又は当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもののうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。
四 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞の通知が到達した日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。
五 許可を受けようとする者が、第六十条第四項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。
六 第四号に規定する期間内に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出があった場合において、許可を受けようとする者が、同号の聴聞の通知が到達した日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。
七 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前各号(第三号を除く。)又は次号のいずれかに該当するものであるとき。
八 許可を受けようとする者が法人である場合において、その役員のうちに前各号(第三号を除く。)のいずれかに該当する者があるとき。
貨物自動車運送事業法 第五条より引用
万が一こちらの欠格事由に該当してしまうと、運送会社の役員になることはできません。
そのため、欠格事由については役員変更登記を申請する前に確認しておくべきでしょう。
今回は、運送会社の役員が変更になった場合の手続きについて解説しました。
役員の変更手続きに限らず、運輸局への書類手続きは慣れていないと、かなりの時間を奪われてしまいます。
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