運送業の許可は新規取得と譲渡譲受のどちらが良いですか?
許可を取得したい方の状況によりますが、たいていの場合は新規で許可を取得したほうが良い場合が多いです。
それはなぜですか?
基本的に新規許可も譲渡譲受も、許可を得るために必要となる事がほとんど一緒であるためです。それであれば相手方が必要となる譲渡譲受よりも、自身で手続きが完結する新規許可の方がスムーズに進む場合が多いです。
一般貨物の許可を取得しようとする場合、新規取得と譲渡譲の2種類の方法があります。
この記事では、譲渡譲受の申請方法に触れながら、メリットとデメリットを解説します。
冒頭で説明したとおり、運送業の許可を取得しようとする場合、2種類の方法があります。
1つは新規で許可を取得する場合で、自身の会社で事務所や車両などの設備を用意して申請します。
運送業の許可を得る場合はほとんどこのパターンです。
もう1つは譲渡譲受の認可申請と言って、既に許可を持っている事業者から「許可そのもの」と「運送業に必要な設備」を譲り受けるというパターンです。
この場合は、許可を譲ってくれる相手方の会社と、譲渡譲受契約という「どのような設備をいくらで譲り受けるか」という契約をかわします。
2つとも申請するにあたり、そこまで大きな手続きの差はありませんが、譲渡譲受の認可申請を選ぶメリット・デメリットがいくつかあります。
運送業の新規許可を取得する際にかかる審査期間は、国土交通省にて4~5ヶ月と決まっています。
それに対し、譲渡譲受の認可申請の審査期間は1~3ヶ月となっています。
しかし、実際には一ヶ月で認可となる場合は少なく、三ヶ月はかかると思っておいた方が良いです。
いずれにしろ、新規で許可を取得するよりも、短い期間で審査が終わり、結果的に許可取得までの期間が短く済むという、メリットがあります。
運送業の許可を新規で取得しようとする際は、12万円の登録免許税という税金の納付が必要となります。
対して、譲渡譲受の申請は、許可申請ではなく、認可申請となるため、登録免許税の納付は必要ありません。
つまり、シンプルに12万円の法定費用が浮くというメリットもあります。
譲渡譲受の認可申請は、相手方ありきの申請となるため、肝心の譲渡譲受の契約が進まないと申請を進めることはできません。
そしてその相手方との契約で、思わぬ行き違いや、相場の不一致などで契約が難航する場合が少なくありません。
このような場合については、余計な労力がかかるだけでなく、かえって新規で許可を取得するよりも、時間がかかるという事もあり得ます。
譲渡譲受の認可申請は、許可そのものを引き継ぐため、相手方が行政処分を受けていた場合、その点数をも引き継ぐことになります。
行政処分を受けていたという事実は、今後運送業を営む上で何らかの形で不都合が発生する可能性があります。
こちらは譲渡譲受のデメリットという訳ではありませんが、必要な事項が同じであればオーソドックスな新規許可を選択したほうが良いという結論にたどり着きます。
例えば、譲渡譲受の認可申請においても役員さんによる法令試験は受講しなければなりませんし、資金があることを証明する残高証明書の提出も必要となります。
このように、新規許可でネックとなる部分がそのまま譲渡譲受の申請においても必要となります。
以上がメリット・デメリットとなります。
当事務所としては、譲渡譲受の認可申請は、申請内容が複雑になる可能性もあり、かつ審査内容自体もあまり新規で取得するのと変わらないため、どちらか迷われている場合は新規で許可を取得することをお勧めしております。