相談者様
介護タクシーは個人で開業・営業することはできますか?
行政書士
はい、介護タクシーは個人事業主として一人から始めることができます。
相談者様
そうなんですね、介護タクシーを始めたい場合何から始めたらいいんでしょうか?
行政書士
そうですね、それでは今回は介護タクシーを個人で開業する場合の手順について解説します。
さて、冒頭の会話でもあるとおり、介護タクシーは個人で開業することが可能です。
個人で介護タクシーを開業しようとする場合、およそ次のような順番で進めていくこととなります。
介護タクシーは、事業を行うのに運輸局(国土交通省)からの許可が必要となる業種です。
この許可がないと事業を開始することができない上に、許可を取得するためにはどうしても審査期間がかかります。
とにかくこの許可の申請をなるべく早めに出して、審査期間中に開業のための準備を進めていくイメージを持つと、スムーズに開業することができるはずです。
それでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
介護タクシーを始める場合において、必ず必要となる資格が一つだけあります。
それは普通自動車第二種運転免許、いわゆる2種免許です。
介護タクシーは、バスや普通のタクシーと同じく運賃をもらって人を運搬することを仕事とするため、この免許が必須となります。
介護タクシーを始めることを心に決めていて、まだ2種免許を持っていない場合は、今すぐ近くの自動車学校へ申し込みましょう。
なお、介護タクシーを開業するにあたってあると便利な資格が「介護資格」と「運行管理者資格」の2つあるのですが、実はこの資格は必須ではありません。
「介護資格」は福祉車両以外の車両を使用する場合に必要ですが、最初の1台で福祉車両以外を選ぶ方はあまりいないでしょうし、そもそも介護タクシーを始めようとする方の多くは介護の資格をもっているでしょうから、ここはあまり気にする必要はありません。
「運行管理者資格」については、車両を5台以上にする場合に必要となる資格です。
なので最初は開業することを最優先にして、運行管理者資格は事業が軌道に乗って、規模を拡大する時に改めて取得すればいいと思います。
介護タクシーはとにかく事業を開始するまでに時間がかかるので、2種免許がクリア出来たらとにかく次のステップへいきましょう。
資格がOKとなれば、次は車両をどうするか決める必要があります。
車両については、様々な選択肢がありますが、特に決まっていない・汎用性があった方が良いということなら、トヨタのウェルキャブ(ハイエース)か日産のチェアキャブ(キャラバン)がいいと思います。
大は小を兼ねるといいますが、理由はズバリこれで大型車であれば車いすだけでなくストレッチャーごと乗せるようにすることもできるため、小型車よりも受注できる仕事の幅が広がります。
なお、購入の方法についてはリースがオススメで、理由は一括購入だと開業資金が一気に減って事業を継続するためのキャッシュフローが悪くなるためです。
当事務所は福祉車両に強い車両販売店様をご紹介することが可能であるため、安心してご依頼いただけます。
さて、いよいよ運輸局へ介護タクシーの許可を取得するための申請を行います。
なぜ審査期間がかかるのに一番最初に申請しなかったかというと、最低限運転手と車両が確定していないと申請自体ができない仕組みになっているからです。
なお、申請すると簡単に言っていますが介護タクシーの申請書は、添付書類や控えを合わせると紙の厚さが3センチくらいになりますので、かなりのボリュームになります。
普段から申請書の記載等に慣れている方でも、事務所や駐車場の平面図等の図面も必要となるので、申請書の作成はかなりの労力が必要となります。
運輸局に申請をして受付がされると、今度は法令試験というタクシー業務を行う上で必要な法令の知識を問う試験があります。
この試験に合格して、申請から4~5ヶ月(※)ほどでやっと許可となります。
(※)運賃料金に関する認可申請を含む
運輸局への申請が完了したら、審査が完了して許可になるまでの間に介護タクシーで使用するための福祉用器具の準備を進めます。
一般的に介護タクシーで必要となる可能性のある福祉器具で割と金額の大きいものでいうと「車いす」、「ストレッチャー」、「階段昇降機」などが挙げられます。
もちろんこれらすべて最初に購入する必要はないと思いますが、必ず必要となるものについては時間のあるうちに選定しておいた方が良いです。
名刺やチラシ・ホームページ等の作成も運輸局への審査期間中にある程度進めておくのが良いです。
許可が下りたらまたそれはそれでやることができますし、最初からある程度お客様の候補を作っておくことで心の余裕が生まれます。
運輸局から介護タクシーの許可が下りると、「事業用自動車等連絡書」という書類が発行されます。
この書類を車両販売店さんに渡して、事業用の緑ナンバーで車両を納車してもらいます。
車両が来たら、運輸局に「運輸開始届」、税務署に「開業届」を提出して、いよいよ事業スタートです。
介護タクシーは、個人で一人から始めることができ、なおかつ一般的な運送業より初期費用をかけずに開業することができます。
しかし、開業するためには様々な準備が必要であり、その中でも運輸局への申請や法令試験の対策などは専門で業務を行っている我々行政書士ですら一筋縄には行かないこともある難しい手続きです。
介護タクシーを開業する上で何から始めていいか分からない、運輸局に対する申請や書類作成が不安という方は、お気軽に一度ご相談ください。
ご希望される場合は、介護タクシーの事業者様が運営されている協同組合のご紹介も可能です。