東海地方(中部運輸局管内)のディーラーナンバー(回送運行許可)の取得方法について解説!

相談者様

 

東海地方ではディーラーナンバー(回送運行許可)が取りやすいと聞きましたが本当ですか?

行政書士

 

たしかに東海地方を管轄する中部運輸局管内でのディーラーナンバーの取得は、関東や近畿に比べて条件が易しい傾向にあります。

相談者様

 

具体的にどの条件がどのくらい易しいのでしょうか?

行政書士

 

それでは今回は、東海地方のディーラーナンバー取得の条件について、他の地域の条件と比較して解説します。

 

 

使用する用途

早速ディーラーナンバー取得に関する条件を解説するのですが、実はディーラーナンバーは使用する用途によって条件が異なります。

 

具体的には、次の4つの用途に分けられています。

 

用途 対象事業者 実例
製 作 自動車メーカー、架装事業者など 自社工場からの回送など
販 売 ディーラー、中古車販売業者など 仕入れ先からの回送など
陸 送 陸送事業者 委託者が指示した回送など
特定整備 自動車整備事業者 車検場までの回送など

 

まずは今回どの用途に該当するかを確認しましょう。

 

許可取得の条件

ディーラーナンバーの使用用途が決まったら、用途ごとの取得条件を確認します。
今回は始めてディーラーナンバー(回送運行許可)を取得する場合を想定し、中部・関東・近畿の条件を比較しながら解説します。

 

なお、ここでいう中部・関東・近畿とは回送運行をおこなう営業所の所在地が、次の都道府県にあることを言います。

 

中部 関東 近畿

回送運行の拠点である
営業所の所在地

愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県 東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、山梨県、神奈川県 大阪府、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県

 

陸送の条件

 

中部地方 関東地方 近畿地方

①回送委託契約を結んでいること

 

②常時運転手が1人以上確保されていること

①製作又は販売を業とする者と、1年以上の期間をもって回送委託契約を結び、回送自動車の運行管理に自ら責任を負う者であること 
②事業用積載車を持っていて、運転手がいること(運送事業者の場合)
③常時運転手が10人以上確保されていること(それ以外の事業者) 

関東地方と同じ

 

ご覧のようにかなり中部地方の条件が易しく設定されているのが分かります。

 

まず回送委託契約書についてですが、これは陸送業者として主に自動車販売業者と結ぶ自動車の陸送についての契約書です。

 

契約の中で陸送に関する地域や料金などを定めます。

 

この回送委託契約について、関東や近畿は契約の相手方の業種や契約期間、責任の所在について細かく決められているのに対し、中部地方にはそのような決まりは特段ありません。

 

さらに必要な運転手の人数についても関東や近畿は最低10人必要であるのに対し、中部地方は1人いれば良いことになっています。

 

なお、契約の締結については「回送委託契約書の写し」の提出、運転手の確保については「雇用契約書の写しや雇用保険の加入証明書等」を提出することによって証明します。

 

また関東・近畿地方においては、一般貨物運送事業者であって事業用ナンバーのついた積載車があれば、運転手10人の条件が適用されなくなります。

 

販売の条件

 

中部地方 関東地方 近畿地方
直近1年間における自ら販売した自動車に係る第35条の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上あること 直近3ヶ月における平均販売台数が12台以上(大型車または輸入車の場合は1両を2両分として計算)であること  直近6ヶ月における平均販売台数が10台以上(輸入車の場合は5台)であること

 

販売の条件は、地域によってかなり条件に違いがあるのが分かります。
大きく異なるのは、中部地方は販売の実績ではなく、車両の回送実績が必要になる点でしょう。

 

これは単に自動車を販売しただけでは足りず、その車両を臨時運行許可証によって回送した実績が必要になるということです。

 

それに対して関東・近畿は、回送の実績ではなく、単に自動車の販売の実績が求められます。

 

販売の場合は、そもそも条件の内容が異なるので、中部地方の方が易しいとは言い切れない部分があります。

 

なお、中部地方の条件である回送の実績は「各自治体が発行した臨時運行許可証の写し」と「売買契約書の写し」の提出、関東・近畿の条件である販売の実績は「売買契約書の写しや注文書の写しなど」を提出することによって証明します。

 

製作の条件

 

中部地方 関東地方 近畿地方
今後1年間の回送計画台数が7台以上であること 直近3ヶ月における平均製作台数が10台以上であること  直近6ヶ月における平均製作台数が10台以上であること

 

製作については、あからさまに中部地方の条件が易しいのが分かります。

 

関東・近畿については自動車の製作実績が求められるのに対し、中部は計画を立てればよいことになっています。

 

ちなみに製作の実績は「架装図面」や「架装契約書」によって証明し、製作の計画は「回送の計画書」の作成によって証明します。

 

特定整備の条件

 

中部地方 関東地方 近畿地方
直近1年間における第35条の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上あること 直近1年間における車検に係る第35条の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上あること 中部地方と同じ

 

特定整備については、地域による条件の違いはありません。

 

関東の条件には「車検に係る第35条の臨時運行許可」とありますが、中部・近畿においても明記されていないだけで、臨時運行許可の目的は車検に係るものでないといけないという解釈がされると思われます。