愛知県で産業廃棄物の許可を取得する方法を解説

相談者様

 

愛知県で産業廃棄物収集運搬の許可を取得したいのですがどうすればよいですか?

行政書士

 

愛知県で取得する場合、尾張県民事務所の廃棄物対策課という機関に申請し許可を取得する必要があります。

相談者様

 

期間や費用はどのくらいかかりますか?

行政書士

 

期間は申請してから約2ヶ月、費用は国に支払う印紙代として81,000円必要となります。

 

 

愛知県で許可を取るという意味

まず初めに産業廃棄物収集運搬の許可は都道府県ごとに取得します。

 

考え方として、廃棄物の「積み込みを行う都道府県」と廃棄物を「持ち込む処分場がある都道府県」に申請をして許可を得ます。

 

つまり、愛知県で許可を取得するという事は、「愛知県で廃棄物を積んで、愛知県にある処分場に運搬する」ための許可という事です。

 

仮に「愛知県で廃棄物を積んで、岐阜県にある処分場に運搬する」という計画であれば、愛知県の他に岐阜県にも申請をして許可を取得しなければなりません。

 

許可が下りる条件

産業廃棄物収集運搬の許可は、実は誰でも取得できるわけではありません。

 

医師の資格を取得するために医学部を卒業する必要がある様に、産業廃棄物の許可も一定の条件を満たしている事業者にのみ、取得が出来る仕組みになっています。

 

このような条件の事を許可の要件と言い、産業廃棄物収集運搬の許可要件は次の5つです。

 

  1. 産業廃棄物の講習を修了している事
  2. 事業を行うに足りる物理的基礎を有している事
  3. 適切な事業計画を定めている事
  4. 事業を行うにあたり適切な施設がある事
  5. 欠格事由に該当していない事

 

産業廃棄物の講習を修了している事

産業廃棄物収集運搬の許可を取得するためには、廃棄物の取り扱いに関する講習を受講し、試験に合格する必要があります。

 

この講習は、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)という機関が主催しており、「2日間の講習+試験」というカリキュラムです。
各都道府県に受講するための会場がありますが、比較的すぐに定員が埋まってしまうのが現状です。

 

そのため愛知県の会場で受けようとしても埋まっており、隣の静岡県や岐阜県の会場で受けるというケースもしばしばあります。

 

産業廃棄物収集運搬の許可を法人で申請する場合は、その法人の役員等が受講する必要があり、詳しくは「産業廃棄物収集運搬業を行う際に必要な講習(試験)について解説」にて解説しておりますので気になった方はご覧ください。

 

事業を行うに足りる経理的基礎を有している事

こちらは簡単に言うと、申請書する会社の財務状況に問題が無いかという部分です。

 

愛知県では仮に直近年度の状況が債務超過や赤字である場合、追加書類として中小企業診断士や会計士が作成した経営診断書を添付するよう求められる場合があります。

 

この診断書によって今後5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明しなければならないわけです。

 

この経理的基礎については、決算書を見ても条件を満たしているのか判断できない場合が多いため、一度審査機関に決算書を送って確認してもらうのが確実です。

 

経理的基礎について詳しく知りたい方は、「債務超過(赤字)の状態での産業廃棄物収集運搬許可申請について」をご覧ください。

 

適切な事業計画を定めている事

こちらの条件は「運搬する廃棄物に対して適切な規模の車両を確保しているか」や「運搬先の処理施設は廃棄物に関して適切な処理能力があるか」といった事を求めています。

 

産業廃棄物収集運搬の許可については、車両は軽自動車1台から始めることができますが、それでいて1日に何十トンもの廃棄物を運ぶといった計画を立てることはできないという事です。

 

こちらは申請書の記載内容によって調整ができますので、申請前からあまり気にする必要はありません。

 

事業を行うにあたり適切な施設がある事

廃棄物を収集運搬するにあたって使用する車両や保管施設、運搬ケースなどを確保できているかという条件です。

 

先程説明した通り、車両については軽自動車1台あれば、一応条件を満たすことができます。
運送業の許可のように、トラック5台確保できないと条件を満たさないといった事はありません。

 

廃棄物を運搬するケースについては、確保しておく必要があります。

 

たとえば、土砂を運ぶコンテナバッグや汚泥を運ぶ専用ビニール袋、蛍光灯を運ぶ廃蛍光管用専用ケースなどです。

 

なお、保管施設については必ずしも設ける必要はありません。
事業を行うにおいて、積み替えや保管を行う場合にのみ必要となります。

 

欠格事由に該当していない事

最後の条件は、申請する会社の役員様が欠格事由に該当していない事です。

 

欠格事由とは、それに該当してしまうと許可が取れなくなってしまう事柄で、次のとおり定められています。

  • 第七条第五項第四号イからチまでのいずれかに該当する者
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)
  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
  • 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
  • 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第5項第2号イからヘより引用

 

一番上の「第七条第五項第四号イからチ」は次の通りです。

 

  • 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
  • この法律、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
  • 第七条の四第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項若しくは第十四条の三の二第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項(これらの規定を第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合(第七条の四第一項第三号又は第十四条の三の二第一項第三号(第十四条の六において準用する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第八条の五第六項及び第十四条第五項第二号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
  • 第七条の四若しくは第十四条の三の二(第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に次条第三項(第十四条の二第三項及び第十四条の五第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再生することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの
  • ヘに規定する期間内に次条第三項の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、ヘの通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
  • その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第七条第五項第四号イからチより引用

 

大変複雑であるため簡単に要約すると、次のような方は欠格事由に該当する可能性があります。

 

  • 体や心を病んでしまい、仕事ができなくなってしまった方
  • 自己破産した方
  • 何らかの刑に処されたことがある方
  • 何らかの許可を取り消されたことがある方
  • 廃棄物に関する事業を廃止した方
  • 暴力団又は暴力団であった方
  • 未成年の方

 

許可取得までの流れ

産業廃棄物収集運搬の許可取得までの流れをフローチャートにまとめます。

 

  • STEP
    許可要件の確認

    まずはこれまででご説明した許可の要件を満たしているかを確認します。

    判断ができない場合は行政書士などの専門家や審査機関である都道府県に問い合わせをしましょう。

  • STEP
    申請書の記入

    次に県によって定められた申請書に申請者の情報や事業の計画について記載し、窓口にて申請を行う必要があります。

    申請書の様式は県の窓口やホームページから入手することができます。

  • STEP
    添付書類の準備

    申請書には、決められた種類の書類を添付して申請する必要があります。

    これを添付書類と言い、具体的には「履歴事項全部証明書」「定款」「車検証(写)」「車両の写真」「施設の説明図」などがあります。

  • STEP
    窓口にて申請

    申請書の記入と、添付書類の準備が終わったらそれらをまとめて都道府県の窓口に提出します。

    県によって名称は異なりますが、愛知県の場合は「尾張県民事務所 廃棄物対策課」という部署に提出します。

  • STEP
    許可取得

    申請から約2ヶ月程度経ち、内容に問題なければ許可が下ります。

 

申請先

最後に中部地方で許可を取得する場合に申請を行う機関をまとめておきます。