利用運送の登録をしたいのですが、純資産が300万円の場合はどうすればよいでしょうか?
このままでは利用運送の登録ができませんので、増資をして純資産額を増やす必要があります。
増資とは何ですが?
会社に出資をして資本金を増やす手続きを増資と言います。これにより純資産額が300万円以上となれば、利用運送登録の資金に関する要件をクリアすることができます。
この記事では、利用運送の登録をする際に純資産額が300万円未満の場合について解説します。
まず初めに、用運送を行うためには、利用運送事業者の登録を行う必要があります。
そしてこちらの登録をするためには、直近の貸借対照表上の純資産の額が、300万円以上でないといけません。
これを利用運送登録における資産に関する要件といい、他にも人に関する要件や営業所に関する要件があります。
こちらの要件については、「利用運送登録のための条件について解説」という記事で解説しておりますので、気になった方はご覧ください。
利用運送事業とは、荷物を運んでほしい荷主から依頼を受けて、実際に荷物を運ぶ運送会社を手配し、その差額を利益とする事業です。
つまり、荷主に対する運送責任は利用運送事業者が負う事になります。
荷主に対して責任を負わないのであれば、それは利用運送とは呼ばず、単に荷物の取次ぎを行っているという事になります。
コンビニ等で発送する荷物を預かって運送会社に渡してくれますよね?あれが荷物の取次ぎです。
荷主に対して運送責任を負うため、荷主保護の観点からこのような資産の要件があるわけです。
税務署に提出している決算書のうち、貸借対照表という書類を確認してください。
貸借対照表は、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」に分かれています。
その中の「純資産の部」に「純資産額」が記載されているはずです。
その額が、300万円以上であれば問題ありません。
なお、会社を設立して1年たっていない場合は、設立した時の資本金の額が300万円以上であれば問題ありません。
また、純資産の額は会社の通帳に入っている預金の額とは違うので、注意が必要です。
増資とは会社に対して現金などを出資して、資本金を増やす手続きのことです。
そうすることにより、出資額に応じて貸借対照表状の純資産の額が増加するため、300万円以上にすることが可能です。
具体的には、出資する方が会社の口座に現金を振込み、振り込んだ後の通帳のコピー等を取り、「払込証明書」という書類を作成します。
その「払込証明書」を添付して法務局へ申請することで、会社の登記簿謄本の資本金が増加し、それに変動して純資産額も増加します。
基本的に300万円にするのに足らない額を増資すれば問題ありませんが、一つ注意点があります。
会社の事業年度が始まったばかりの時期に増資する場合は、先程ご説明した通り足らない額を増資すれば問題ありません。
つまり、現在純資産の額が205万円だとしたら、300万円以上となるよう、95万円以上増資します。
この場合は、キリ良く100万円増資すればいいと思います。
なお、事業年度が始まったばかりとはどういうことかというと、つまり3月決算の会社の場合は4月~6月くらいという事です。
この事業年度は会社によって異なり、必ずしも3月決算となるわけではないので、注意しましょう。
決算間近の時期に増資する場合は、300万円以上となるようにギリギリの額を増資するのは危険です。
なぜかというと、利用運送の審査期間は3か月程度かかります。
その3か月の間に、決算を迎え新しい事業年度が始まると、審査期間中に新しい貸借対照表を提出するよう求められるケースがあります。
新しい貸借対照表の純資産額によっては、せっかく増資しても300万円を超えないという場合もあり得ます。
そのため、決算間近の時期に増資して申請する場合は、顧問の税理士と相談して次の年度も純資産額が300万円を超えるように余裕を持った額を増資するようにしましょう。
今回は利用運送登録の際に、純資産の額が足らない場合の申請方法について解説しました。
仮に300万円を下回っていても、正しい手続きを行うことで利用運送の登録が可能になります。
「利用運送の許可を取りたい」「利用運送のことで疑問がある」という方はお気軽にお問い合わせください。