利用運送登録のための条件について解説
利用運送登録のための要件(条件)は大きく分けて営業所の要件、人の要件、資金の要件の3つがあります。
営業所は使用権限があり、都市計画法等の関係法令に抵触していないことが求められます。
人にかんしては、欠格事由に該当していないことが求められます。
資金に関しては、直近の貸借対照表状の純資産額が300万円以上である必要があります。

利用運送登録のための条件について解説

相談者様

 

利用運送を登録するための要件はありますか?

行政書士

 

営業所の要件、人に関する要件、資金に関する要件の3つをクリアする必要があります。

相談者様

 

それぞれの要件について詳しく教えてください。

行政書士

 

では今回は、利用運送登録をするための要件について解説します。

 

営業所の要件

営業所の要件としては、登録しようとしている営業所が都市計画法等の関係法令に抵触せず、使用権原があることが必要です。

 

簡単に言うと、その営業所が法令に反せずに建てられていて、かつ申請しようとしている方が賃貸している所有している状態である事が求められます。

 

都市計画法等の関係法令に抵触しないとは何か

都市計画法という法律では、運送業の営業所を設けることができるる場所と、そうでない場所を定めています。

 

下記のとおり、都市計画法で13種類の用途地域を定めています。

 

第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域

 

そして、営業所を設けることができるのは、次の9種類です。

 

  1. 第二種中高層住居専用地域(床面積1,500㎡以下かつ2階以下に限る)
  2. 第一種住居地域
  3. 第二種住居地域
  4. 準住居地域
  5. 近隣商業地域
  6. 商業地域
  7. 準工業地域
  8. 工業地域
  9. 工業専用地域

 

利用運送を行うための営業所は、この9種類の用途地域に立てられている建物である必要があるという事です。

 

なお、用途地域は市役所等で照会することが出来ます。

 

使用権原があるとは何か

使用権限があるというのは、その建物を所有しているか賃貸しているかして、適法に使用できる状態でなければならないという当然のことを言っています。

 

ただし、会社で利用運送の登録を仕様としている場合で、建物の所有者がその会社の代表者である場合、代表者から会社への賃貸借契約書を提出する必要があります。

 

法律上、たとえ代表者であっても「会社」と「人」は別々の人格という扱いとなるためです。

 

人に関する要件

人に関する要件としては、申請しようとしている方(申請しようとしている方が法人の場合はその役員)が、貨物利用運送事業の欠格事由のいずれにも該当しないこと必要です。

 

欠格事由は次のとおりです。

1. 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
2. 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
3. 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者

 

要するに罪を犯したり、不正な行為を行った者は一定期間経過しなければ、利用運送の登録はさせないという趣旨です。

資金に関する要件

最後は資金に関する要件になります。

 

利用運送を申請する方は法人が多いと思いますので、法人の場合で解説いたしますと申請のタイミングで、直近の貸借対照表上の純資産が300万円以上である必要があります。

 

仮に純資産の額が300万円を下回っている場合は、次の2つの方法で申請することができます。

 

  1. 次の事業年度で純資産の額が300万円以上になるのを待つ
  2. 増資をして純資産額を増加させる

 

次の事業年度で純資産の額が300万円以上になるのを待つ

決算書である貸借対照表は、その会社の事業年度ごとに作成されます。

 

つまり、次の年度の業績次第で純資産の額が増加する可能性もあるため、見込みがあれば次の事業年度まで待って申請するという手もあります。

 

増資をして純資産額を増加させる

 

次の事業年度まで待てない」もしくは「待っても純資産が増加する見込みがない」場合については、増資という手続きをすることで純資産を増加させることができます。

 

増資とは会社に出資をして資本金を増加させる手続きを言うのですが、それにより純資産額が出資金額に応じて増加します。